097号

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22 高知論叢 第97号風害が著しく,植林にも適していない。結局,耕作にも植林にも向かない「はら」の土地は野草の採集場として位置づけられた。土地の開墾や水路の整備....

22 高知論叢 第97号風害が著しく,植林にも適していない。結局,耕作にも植林にも向かない「はら」の土地は野草の採集場として位置づけられた。土地の開墾や水路の整備をするわけでもなく,単に野草を採取するだけであれば,私有権を主張する根拠も薄い。また,仮に囲い込んで先占による私有権を主張しても,他人の利用を排除するための柵や溝の設置の負担は独占的な利用による利益を上回る。生産性が低いためである。こうして,草地は私有化しないまま利用されるようになったと考えられる。ここで規定的に働いている要因は,人為によって資源を改良することの難しさと生産性の低さであることに注目したい。改良が効き難く,生産性の低い資源が広く存在している状況が共同利用の契機となっていたのである。 明治の半ばになると,三瓶山山麓の入会組織が統合され「三瓶牧畜組合」が図1 三瓶山麓における入会地・河川・池の分布注)筆者作成