097号

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28 高知論叢 第97号は幾何級数的に拡大することがわかる(図5 参照)。石干見や垣の場合でも同様である。石干見・垣とは岩塊やサンゴ石灰岩を半円や馬蹄形に積み上げた定置漁具である(図6 参照)。上げ潮のときに....

28 高知論叢 第97号は幾何級数的に拡大することがわかる(図5 参照)。石干見や垣の場合でも同様である。石干見・垣とは岩塊やサンゴ石灰岩を半円や馬蹄形に積み上げた定置漁具である(図6 参照)。上げ潮のときに接岸した魚類を退潮時に封じ込めて捕獲することを目的としている10。日本ではサンゴ礁が形成するリーフ内に作られた石垣が有名である。多辺田は沖縄においてリーフが入会地として利用され,そこに作られた石干見・垣は親族単位で維持され,共同利用されていたとする11。個別に石干見を設置しても魚を効率的に捕らえることはできないが,共同すればそれが可能となる。したがって,協力するかしないかで漁獲高には歴然とした違いが生まれる。河川水の利用を目的とした水利施設についても,同様の議論が適用できる。草地や石干見の場合,ストックそのものが共同で形成されたものであるから,そこから生み出される財やサービスは当然共同で利用すべきものであり, その意味で共用のものとなり, いわゆるコモンズが形成させることになる。また,人為的に作られたストック(以下,人為ストックとする)を維持管理するため,それに係る組織の形成が不可欠となる。人為ストックの維持管理のための活動,すなわち,柵や見回りなどは,域外利用者の排除を容易にし,排除機能も併せ持つ。また,組織内の資源の過剰な収奪を防ぐルール(休牧期間の設定10 田和[12].11 多辺田[11].3戸の漁家が独立して石干見を作る場合3戸の漁家が共同して退潮時の魚の移動経路石干見を作る場合島島海海石干見図6 石干見の形態と漁獲高注)筆者作成