097号

097号 page 39/212

電子ブックを開く

このページは 097号 の電子ブックに掲載されている39ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
コモンズ形成の原理と現代的課題29など)を確立し,実施することもその組織の任務となる。こうした組織が牧野組合であり,水利組合である。ここではこの種のコモンズを人為ストック型のコモンズと呼ぶ。人為ストック....

コモンズ形成の原理と現代的課題29など)を確立し,実施することもその組織の任務となる。こうした組織が牧野組合であり,水利組合である。ここではこの種のコモンズを人為ストック型のコモンズと呼ぶ。人為ストック型コモンズは,もちろん人為ストックだけで成立するものではない。人為に関わらない自然ストックと合わせて利用されるのが一般的である。両者の比率は一様ではなく,自然に対する改良の度合いでその水準は大きく変わる(図7 )。例えば,先の石干見などはリーフの一部を改良するに留まるのに対し,水利施設などでは水路そのものを設置し,新たな水系を創出するなど人為ストックが極めて高い比率になりうる。人為ストックの比率が高ければ高いほど,その維持管理良し悪しが資源系の生産性のを大きく規定する。人為ストック型のコモンズに対し,大規模な労働投入によっても生産性の向上が望めない場合,そうした資源は単なる採取の対象となる。すでに述べたように,海の資源がその典型例である。海の場合,石干見や栽培漁業等をのぞけば,資源の改良はむずかしい。したがって,資源収奪型になり,Hardin が指摘するコモンズの悲劇が生まれる契機となる。そこでは,いかにして資源の収奪を排除するかという点に関心が集中し,他地域からの侵入者が資源を採取することを排除するための組織が形成さる。そして,これがコモンズを管理する主体となる。人為ストック型の組織と異なり,排除が主たる目的であるので,組織行動は比較的単純なものになり易い。以下では,これを採取型コモンズとする。図7 人為ストックからみたコモンズの分類注)筆者作成人為ストック自然ストック外海石干見・垣二次草原灌漑施設原自然二次的自然