097号 page 40/212
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30 高知論叢 第97号4. 人為ストックの有無とコモンズの現代的課題人為ストックの存在やその重要性は,Ostrom によっても当初から認識されている。Ostromは資源をストックとフローに峻別し,ストックを資源系(resou....
30 高知論叢 第97号4. 人為ストックの有無とコモンズの現代的課題人為ストックの存在やその重要性は,Ostrom によっても当初から認識されている。Ostromは資源をストックとフローに峻別し,ストックを資源系(resourcesystem),フローを資源単位(resource unit)と呼ぶ。資源系から資源単位を取得する過程は占有(appropriation)と呼ばれ,その主体は占有者(appropriator)とされる。家畜飼養者,漁業者などが占有者に相当する。また,Ostrom は共同利用資源を供給する主体として,設立準備者(provider)と設立・管理者(producer)をあげる。設立準備者は,「共同利用資源の供給を設計する(arrange)」主体であり,企画や融資などを行う。設立・管理者は「実際に建設,修理あるいは長期的に資源系そのものが維持できるような行動を取る」主体を指す。両者は一体化される場合も分離される場合もある12。図8 はこれらの概念の関係を図式化したものである。 この図から明らかなように,Ostrom は占有者(利用者)だけでなく,共同利用資源に関わる人為ストックの形成を重視しており,人為ストック形成の主体12 Ostrom[14]pp. 30-31.図8 E. Ostromのコモンズ論注)筆者作成