097号

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海のコモンズの現代的可能性37合,ある種の再生可能資源である。すなわち,適度に利用する限り資源は回復し,長期にわたって利用することが可能である。そのため,資源の持続可能な利用量を見出し,その範囲の中にお....

海のコモンズの現代的可能性37合,ある種の再生可能資源である。すなわち,適度に利用する限り資源は回復し,長期にわたって利用することが可能である。そのため,資源の持続可能な利用量を見出し,その範囲の中におさまるよう利用をコントロールする必要がある。また歴史的に見るならば,そのような山野河海の自然資源は,個人の所有になじまない場合が多く,「所有が特定の個人によらないいわば共有の資源」(藪田〔27〕),いわゆるコモンプール資源(あるいはコモンプール財ともいう)として保持されることが多かった。コモンプール資源は,排除性と競合性の二つの軸による財の分類軸からみると,排除性が低く(山野河海とはそういう場所である),競合性が高いという性質を持っている(第1 図参照)。 排除性が低いという性質は,オープンアクセスの状態になりやすいことを意味し,Hardin〔5〕のいうところのコモンズの悲劇に陥りやすい。しかし,そのような資源も,近隣の地域共同体の成員の生活にとって必要不可欠な財を提供しているような場合,地域共同体内部である種の利用ルールが成立して成員にそれが強制されるようになると共に,必要な管理が共同体によって担われるようになる場合がある。第1図 排除性と競合性の2つの軸による財の分類弱弱強強排除性競合性私的財純公共財クラブ財コモンプール財 このような形でコモンズが成立する場合,その母体となる共同体=管理組織は,いくつかのコストを負担しなければならない。まず,排除性が低い資源の利用を一定のコントロールの下に置こうという場合,(A-1)ある一定の範囲を明確に区切って資源系を占有し,部外者の利用を排除すると共に,共同体の成員に対しては利用ルールを強制するためのコスト,(A-2)管理組織が定めた境界や利用ルールが実効的に守られているかを監視するためのモニタリングコス