097号

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40 高知論叢 第97号ルール修正に参加できること4 . 監視5 . 段階的な制裁措置6 . 紛争解決メカニズム7 . 組織のための最小限の権利の(政府当局による)承認8 . 入れ子状の組織:より大きなシステムの一部であるよ....

40 高知論叢 第97号ルール修正に参加できること4 . 監視5 . 段階的な制裁措置6 . 紛争解決メカニズム7 . 組織のための最小限の権利の(政府当局による)承認8 . 入れ子状の組織:より大きなシステムの一部であるようなCPRの場合,占有,提供,監視,強制,紛争解決,及び管理行為が,多層にわたって入れ子状に組織されていること いま,1,2,4,5 は,(A)資源系の囲い込みコストと関係し,2 は(B)資源系の維持・管理コストと関係していることがわかる。また,2,3,5,6,7,8 は,(C)利用管理組織の形成・維持コストと関係し,このコストを節約するためのポイントを示していると解釈することも可能である。たとえば8 の「入れ子状の組織」というのも,集団のサイズが無闇に大きくなるのを避け,(C)のコストが増大するのを避けるための知恵であると考えられる。 最後に,CPR の長期持続的利用のためのコストの規定要因と一人当たりが負担するコストの関係を第1 表にまとめた。上記で議論した要因以外に,資源の観察困難性,資源利用の多様性,地域の社会関係資本の3 つの視点を付け加えてみた。資源の観察困難性は,陸上の資源と比較して,水産資源やサンゴ礁など海洋自然資源に顕著な特徴である。この性質により資源の現状や持続可能な利用量を把握するのが困難になり,(A)のコストは格段に大きくなると考えられる。また,資源利用の多様性に関しては,たとえば単なる草資源として利用していた草原に関して,その景観や生物多様性の価値がクローズアップされたりするケースを想定している(註5)。利用が多様化すると,しばしば全く異なる利害や考え方を持つステークホルダーが生じるため,特に(C)のコストが極めて大きくなると予想され,しばしば資源の利用や管理に関して強いコンフリクトが起こる。これは,現代社会において伝統的な自然資源の利用が衰退し,新たな利用が勃興してきた時にしばしば起こる問題である。そのようなケースでは,CPR の利用や管理を通じて地域に蓄積されてきた社会関係資本がしばしば