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48 高知論叢 第97号された地先漁場,(3)移動しながら魚を追う沖合漁場の3 つに区分し,九州西海岸地域の漁場を事例に,それぞれの漁場の特徴が検討されている。 ここでは,この橋村〔6〕の区分を利用し,漁場の....

48 高知論叢 第97号された地先漁場,(3)移動しながら魚を追う沖合漁場の3 つに区分し,九州西海岸地域の漁場を事例に,それぞれの漁場の特徴が検討されている。 ここでは,この橋村〔6〕の区分を利用し,漁場の特徴と資源系の囲みコストの関係を分析する。第2 表に,橋村〔6〕の挙げる網代漁場・地先漁場(沿岸を分割してできた漁場)・沖合漁場の特徴を整理した上で(上半分), 囲い込みコストとその規定要因がどうなっているかをまとめた(下半分)。囲い込みコストを規定する要因としては,第1 表に掲げた(1)資源のまとまりの空間的広がり,(2)排除困難性,(3)観察困難性,(4)資源利用の多様性を検討した。(1)の資源のまとまりの空間的広がりに関しては,網代漁場が一定のポイント,地先漁場が一定の区切られた範囲,沖合漁場が地先漁場の外側の広大な範囲となり,順に大きくなっていく。(2)の排除困難性は(1)の広がりとほぼ比例して,網代漁場,地先漁場,沖合漁場の順に大きくなっていくものと考えられる。(3)の観察困難性に関しては,海中の資源ということで全て観察困難であるが,やはり領域の広さ, および漁場の水深などに比例して, 網代漁場, 地先漁場, 沖合漁場の順に大きくなっていくだろう。最後に(4)の資源利用の多様性である。沖合漁場の漁法は回遊魚の魚群を一網打尽にするタイプのものが多い。網代漁場では,定置網など一定のポイントに固定された漁具により回遊してくる様々な魚類を一網打尽にする漁法と,特定魚種を狙った漁法が営まれる。この沖合漁場・網代漁場では限定された特定の漁法が行われ,資源利用の多様性は一定の範囲に収まると考えられる。地先漁場に関しては,その海域の特性に依存するが,海域によっては多様な魚種を狙う多様な漁法が営まれていることが見て取れる(橋村〔6〕第3 章表 3-4)。 以上,規定要因の(1)~(3)に関しては,網代漁場,地先漁場,沖合漁場の順に囲い込みコストが大きくなっていく傾向がある。ただ(4)に関しては,地先漁場の漁法が多様な分,資源利用のモニタリングコストが大きくなり,囲い込みコストを押し上げる傾向があるかもしれない。ただ,全体としては,網代漁場,地先漁場,沖合漁場の順に囲い込みコストが大きくなっていくと考えてよいのではないだろうか。 これらの点を踏まえつつ,権利の態様と利用集団のサイズを考えよう。網代