097号

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70 高知論叢 第97号を図1-2で示した。マキャベリが常備軍を重視したことは, この時代のイタリア半島では傭兵が多かったことがその背景にある。 君主への大胆な問題提起を行ったマキャベリの書は刺激的であるが故....

70 高知論叢 第97号を図1-2で示した。マキャベリが常備軍を重視したことは, この時代のイタリア半島では傭兵が多かったことがその背景にある。 君主への大胆な問題提起を行ったマキャベリの書は刺激的であるが故に,教会から弾劾され,禁書扱いになった。しかし,『君主論』の文章は正鵠をついているが故に,次の時代の絶対王政期に再評価され,時代が下って啓蒙主義の時代には,愛国者,共和主義者として高い評価を得ることになった。 国家と戦争論はホッブス,ルソーの論争に引き継がれた。図1-2 マキャベリの君権と軍(君主に帰属する唯一本来の任務/ 国家の基礎)君 主常備軍(4)ホッブスの戦争論 ホッブスの思想の出発点は人間が本来平等であり,これが人間の自然であるとするところにある。これは後のルソーによって批判的に継承された。 ホッブスは次のように言う。人間は本来平等であり,そもそも自然は人間を身心の諸能力において平等に作った。ところが人間は平等な事によって差異をより強く意識するようになる。人間にとって完全に平等なことは多くなく,肉体的,精神的な差異,不平等なことが増幅され,その事への不信から競争が生まれ,相互不信が生じざるを得ない。この事から,ホッブスは人間の自然的本性は争いであると結論する。人間の本性が争いである原因は3つあり,競争,不信,自負であるという。ホッブスがいう戦争とは戦闘状態だけを指すのでは