097号

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戦争論の系譜(1) 71なく,人間相互間の状態をいう。「人間は自分たちすべてを畏怖させるような共通の権力がない間は,人間は戦争とよばれる状態,各人の各人にたいする戦争状態にある」9 ホッブスは国家による強....

戦争論の系譜(1) 71なく,人間相互間の状態をいう。「人間は自分たちすべてを畏怖させるような共通の権力がない間は,人間は戦争とよばれる状態,各人の各人にたいする戦争状態にある」9 ホッブスは国家による強制的な権力が確固としたものがない限りにおいて人間の自然状態は戦争,闘争状態にあると規定する。その理由をホッブスは生物の生命活動における自己保存の本能にあるとする。生命の危険がおびやかされたときには生物は自己保存を予見し,そのために努力するが,自然世界の資源は有限であるから,すべての欲望は満たされない。人間も有限な資源,土地,資産をめぐって争うことになる。 ホッブスは自然状態を想定して国家モデルを作り上げた。ホッブスによる次の主張,すなわち,人間の自然状態を想定して平等な個人間の契約によって国家は形成された,と考える見方はルソーに継承される。しかしホッブスはここから先が後のルソーとは違った。図1-3 ホッブスの戦争論個人個人戦争国家A 国家B人間の本性(戦争) 人間の本性(戦争)競争/不信競争/不信自己保全自己保全個人個人(5)ルソーの戦争論 ホッブスによる戦争の定義,すなわち人間の自然状態は戦争であり,闘争は人類にとって本来的,本能的なものである,という主張はルソーにとって納得9 ホッブス『リヴァイアサン』中央公論社 1971年(昭和46年)1 月154頁~156頁