097号

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80 高知論叢 第97号家は政治と軍事の両方について教育を受け,国家の元首たる人物は戦時において政治家と将軍を兼ねなければならない。ジョミニは政治家が軍を率いない場合は優れた将軍に委託し,参謀本部は戦争の....

80 高知論叢 第97号家は政治と軍事の両方について教育を受け,国家の元首たる人物は戦時において政治家と将軍を兼ねなければならない。ジョミニは政治家が軍を率いない場合は優れた将軍に委託し,参謀本部は戦争の危機に備えて平時から戦争計画を研究する必要がある,と述べている。 ジョミニは元首が戦時において政治家と将軍を兼ねない場合について,以下のように述べている。「皇帝が大元帥として出陣する必要を感じつつも,最高指揮権行使に必須の信念を欠く場合には,彼は最高の資質を備えている二名の将軍を随伴すべきであろう。すなわちその一名は行政事務に堪能なもの,他の一名は高度の教育を受けた幕僚将校である。不幸にもこのことは常に行われていない。」25と述べている。 ジョミニはナポレオン,フリードリヒ大王,ピョートル大帝などは皇帝が軍事統帥権を行使した人物としてふさわしかったと述べている。しかしそれ以外の皇帝は軍事統帥権を行使する実力を備えておらず,実際の統帥権は部下の将軍が行使していた。ジョミニは君主が直接軍を統帥することは困難であり,軍人のリーダー,将軍による統帥がよいと述べ,軍の統帥は,常に困難な課題であったことを併せて指摘している。 以上のようなジョミニの所説を図1-7に示した。ジョミニは, 皇帝は有能な幕僚将校と行政将校に委任すべきだと述べた。図1-7 ジョミニの統帥論皇帝委任委任幕僚将校行政将校25 ジョミニ『戦争概論』2001年12月10日中央公論新社52頁