097号

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84 高知論叢 第97号まですべて殲滅する次世代新兵器,決戦兵器が開発され,大阪も,東京も廃墟になると予言した。昭和4年の講演の中で提起した戦時統帥論は,日米開戦直前のこの時期の講演では一....

84 高知論叢 第97号まですべて殲滅する次世代新兵器,決戦兵器が開発され,大阪も,東京も廃墟になると予言した。昭和4年の講演の中で提起した戦時統帥論は,日米開戦直前のこの時期の講演では一言も語らず,殲滅戦争を示唆する講演であった。図1-8 石原莞爾の戦時統帥論国体の霊力軍=政治官民一体小  括 カントは晩年,国家間の戦争を終わらせ平和を実現するために,いくつかの必要な条件を提示した。完全な平和条約の実現,独立国家への不可侵,常備軍の全廃,戦時国債の禁止,殲滅戦争の禁止,自由な諸国家の連合などである。そのいくつかは実現されたが,カントの時代には想像できなかったほどの悲惨な大戦争を人類は経験し,さらに核による世界全面戦争の脅威に人類はなお直面している。人類はなぜ戦争をするのか,その問いに対して過去の先哲は如何に答えてきたのか。本節ではそれを概観してきた。 本稿は明治以降の日本の戦争史を念頭においている。戦争とは相手国の憲法を含む社会契約への攻撃であるというルソーの戦争論は今日までの戦争にも当てはまる定義である。