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100 高知論叢 第98号会を開催し,このうち19漁協が県1 漁協への参加を可決した。その後, 2 回にわたり再臨時総会が開催され,12月までに25の漁協が参加を可決し,県1漁協は25漁協が合併する形で2008年4 月1 日に....

100 高知論叢 第98号会を開催し,このうち19漁協が県1 漁協への参加を可決した。その後, 2 回にわたり再臨時総会が開催され,12月までに25の漁協が参加を可決し,県1漁協は25漁協が合併する形で2008年4 月1 日にスタートした。 合併後の組合名は「高知県漁業協同組合」(以下本稿では「高知県漁協」ないし「県漁協」とする)とし,主たる事務所は高知市の旧高知市漁業協同組合事務所に置くこととした。発足当初の組合員は6,782名(うち正組合員4,008名(法人54を含む)),総代100名,理事10名(うち常勤7 名),監事4 名,職員170名の体制であった20。県漁協の組織は,合併前の各漁協を芸東,中央,高岡,幡東,清水の5 ブロックに分け,各ブロックごとに統括支所(室戸,本所,宇佐,佐賀,清水)を置く形をとった。 県漁協の設立目的は,効率化,スリム化,規模の利益のメリットを生かす,流通ルートの開拓等である。発足後,その目的に沿った形で,全漁連から直接軽油を仕入れるために軽油引取税に係る「特定業者」の指定を受ける,魚価維持のため市場での入札に参加する,直販所「海の漁心市」( 2 店舗)を設置する,県内スーパーとの直接取引を行う等,次々と事業展開を行い,活動を活発化させている21。第1事業年度(2008(平成20)年4 月-2009年3 月)の経常利益は9,200万円,販売事業売り上げは79億円あまりとなっている。 県漁協設立後,新規に新たな漁協の参加を受け付ける際には,合併時と同様欠損金は補填すること,旧漁協単位で単年度黒字を目指すこと,漁業権は従前通りとすること,等が条件となるとのことであった。 県漁協と各支所の関係は,県漁協では旧漁協単位で「地区委員会」を設け,地区委員会単位で漁業権の管理を行い,それを県漁協が受け入れる形をとっている。各支所単位で経営の収支について赤字にならないよう努力を促すため,必要な指導を県漁協が行っている。また,ブロックごとブロック会議を開き各20 高知県漁業協同組合「業務報告書(平成20年度)」。以下,県漁協の組織・運営方法等は基本的にこの業務報告に依拠している。21 筆者は2009(平成21)年11月に, 県漁協本所において, 組合長および専務理事から県漁協の概況について聞き取り調査をすることができた。明神組合長は合併前の佐賀町漁協組合長,竹村専務理事は高知県漁協合併推進本部長を経て現職。高知県海洋部『かつお通信』第33号(平成19年10月31日号)参照。