098号

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漁業権による沿岸海域の管理可能性101支所との意見交換を行うとともに,ブロックごとに収支と資金繰りを総合的に管理する形で,統括支所が各支所をとりまとめている。 漁業協同組合は,漁業者の集合体としての性質....

漁業権による沿岸海域の管理可能性101支所との意見交換を行うとともに,ブロックごとに収支と資金繰りを総合的に管理する形で,統括支所が各支所をとりまとめている。 漁業協同組合は,漁業者の集合体としての性質と,経済団体としてそれ自体は効率性と利益の拡大を求めるという性質を併せ持つ。合併による規模拡大は,規模の利益を求め,経済のグローバル化が進む今日の状況下で経済活動の主体として他の主体と対等に渡り合うために必要な手段である。県漁協に参加した各漁協とその構成員たる漁業者は,さらなる経営の効率化,自らの組合の地位の低下に対する不安,あるいは高齢化や廃業による組合員の減少による組合解散の危機への対応といった様々な理由で県漁協に参加したものと思われるが,合併による経済団体としての体質の強化は,単独の漁協で行うよりも実現可能性が高いと考えられ,その意味で,県漁協に参加するという選択肢をとった各漁協の判断は合理的なものであったといえる。 しかし,大規模化が,個々の漁業者の個別経営に直接与えるプラスの影響は限定的である。市場参加や流通ルートの開拓,共同購入によるコスト低減など,目に見えるプラスの影響はもちろんあるが,個別経営の業績の大幅な改善につながるほどの効果が見込めるかといえば,急には難しいと思われる。新たな設備投資の意欲を喚起する,あるいは新たな後継者が出て来るといった,県内の漁業の衰退傾向を一挙に改善できるほどのインパクトを,県漁協設立に求めるのは無理な話であろう。 また,あえて参加しなかった漁協や,財務状況が悪く参加したくても参加できなかった漁協も存在する。他県の県1漁協の中には海面漁業の漁協すべてが参加し,文字通り県内にひとつだけの漁協となったところもある22が,高知県漁協は,組合数で県内の6 割,販売額で8 割をまとめるにとどまっており,県内にひとつだけの漁協といえる存在ではない。今後,文字通りの県1漁協を目指すかどうかはともかく,県漁協にとっても,県内全体の漁業,漁協について考えていく上でも,不参加漁協について,不参加の意図や原因を分析すること22 たとえば大分県漁業協同組合。ほかにも複数,県1漁業協同組合があり,中には合併に反対する漁協が存在するところがあるなど,県1漁協への大規模合併について,これを単純に肯定的に評価することはできない。