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102 高知論叢 第98号は必要不可欠な課題である。 ともあれ,大規模合併によって県内漁業を支える漁協ができたことは,県内漁業,漁業者にとって大きな影響があることは間違いがなく,今後の動向が注目される。漁業....

102 高知論叢 第98号は必要不可欠な課題である。 ともあれ,大規模合併によって県内漁業を支える漁協ができたことは,県内漁業,漁業者にとって大きな影響があることは間違いがなく,今後の動向が注目される。漁業者のみならず県経済全体の発展に貢献し続ける存在であり続けるよう,県漁協の活躍が期待されるところである。 以上が県漁協の設立経緯と概況であるが,漁協が免許される漁業権と合併後の漁協との関連はどうか,ということをここで少し触れておきたい。先述のように,漁業権は漁業協同組合に免許されるので,合併後,漁業権は県漁協が免許を受けている。合併後の法人としての漁協は1 つになるのであるが,漁業権はそのまま複数免許されることになる。漁業権は「関係地区」ごとに与えられることになり,それぞれの地区の意向が重視され,漁協は権利の受け皿にはなるが,実際の権利主体は「関係地区」の漁民,すなわち旧漁協の構成員ということになる。高知県漁協が合併の際に各漁協に示す「漁業権は従前の通り」という条件はこのことを意味している。3 高知県の漁業権3-1. 漁業権の推移 表3 は,高知県における漁業権の免許数の推移である。1979(昭和54)年から2009(平成21)年までの30年間に,免許総数が89,約10%減少しているが,表1 ,表2 で示した漁業情勢の急速な悪化に比べれば,その変化はむしろ緩やかなものといえる。区画漁業権,定置漁業権が大きく減少しているのは,まさに漁業情勢の悪化が主たる要因であると考えられるが,共同漁業権については大きな変化がなく,他の漁業権と比べ安定性が際立っている。特に,第1 種共同漁業権は,免許数とともに,免許の境界についても変化がない。高知県漁業管理課からは,表3 の免許数の推移のほか,1888(昭和63)年以降の漁業権の免許の詳細について,公表された資料(高知県広報)の提供も受けているが,それによると,第1 種共同漁業権について,1993(平成5 )年と2003(平成15)年の免許更新時の位置・区域は,漁業権の分割によって増加した部分を除いて全て同じで