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漁業権による沿岸海域の管理可能性111ようとするときに準用する」とした。規定の趣旨は,合併の際に自分たちの地区の従来の漁業権がどのようになるのかという旧漁協の漁業者の不安を取り除くためであるとされる26が....

漁業権による沿岸海域の管理可能性111ようとするときに準用する」とした。規定の趣旨は,合併の際に自分たちの地区の従来の漁業権がどのようになるのかという旧漁協の漁業者の不安を取り除くためであるとされる26が,漁業権行使の具体的な内容は,基本的に当該地区の自主決定に委ねられているということをも(改めて)明らかにしたものと見ることもできる。関係地区の漁業権行使の具体的内容を定める漁業権行使規則は,一定の制約はあるが,当該地区の自主決定により,漁業権の内容および組合員の権利行使資格について定めることができ,それが当該地区のローカルルールとして機能する可能性を秘めているのではないか。そうであるとすれば,権利の内実の空洞化,漁業内容や組合員の減少を前にしてその対応を迫られた時などに,当該地区の漁業権の内容あるいは行使資格要件等を必要な範囲で変更し,より多くの関係者を漁業権行使の主体,すなわち海の利用と管理の主体と位置づけ,また新しい海の利用方法を漁業として位置づけることも不可能ではないかもしれない27。その先に,あるいは過少利用,権利の内実の空洞化を克服できる鍵があるかもしれない。26 田中克哲『最新・漁業権読本』(まな出版企画 2002年)p. 260以下参照。なお,改正法に関する都道府県知事あて農林水産事務次官通知(13水漁第2270号 平成13年12月27日)「漁業法等の一部を改正する法律の施行について」では,「組合管理漁業権である特定区画漁業権又は第一種共同漁業権の放棄等については,組合の多数者の意思により地元地区・関係地区の漁業者の地位が不当に脅かされることのないよう,漁業権行使規則の制定,変更又は廃止と同様に,総会(総会の部会及び総代会を含む。ただし,組合法第52条第8 項により「漁業権又はこれに関する物権の設定,得喪又は変更」を総代会で決することができるのは,河川において水産動植物の採捕又は養殖をする者を主たる構成員とする組合に限定されている。)の議決前に,その組合員(漁業協同組合連合会の場合には,その会員たる漁業協同組合の組合員)」であって(中略)「地元地区・関係地区の区域内に住所を有するものの3 分の2 以上の同意を要する旨の規定を新たに設けることとした」としている。農林水産省ウエブサイト(http://www.maff.go.jp/j/kokuji_tuti/tuti/t0000534.html)参照(2010年6 月現在)。27 もちろん,何ら制約もなしに全くの自主決定が認められるべきだという訳ではない。現実に漁業権行使のあり方,組合員資格の要件等については,漁業法および水産業協同組合法により具体的に条件が設けられ,厳格に運用されるようになってきた。たとえば水産業協同組合法の2007(平成19年)改正では, 組合員の資格審査について, 漁協の自治の観点から漁協の判断に委ねていたが, これを定款上に明確化することが義務づけられた(第32条2 項)。なお,この点につき都道府県知事あて農林林水産事務次官通知(19水漁第3944号 平成20年4 月1 日)「水産業協同組合法等の一部を改正する法律の施行について」を参照。農林水産省ウェブサイト(http://www.maff.go.jp/j/kokuji_tuti/tuti/t0000809.html)参照(2010年6 月現在)。