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戦争論の系譜(2) 13するが,昭和初期の日本が前立憲制下のそれに限りなく近いとは述べなかった。(4)ドイツと日本の政軍関係論日本軍はドイツの参謀本部の形式を取り入れて統帥権を確立し,日清・日露戦争におけ....

戦争論の系譜(2) 13するが,昭和初期の日本が前立憲制下のそれに限りなく近いとは述べなかった。(4)ドイツと日本の政軍関係論日本軍はドイツの参謀本部の形式を取り入れて統帥権を確立し,日清・日露戦争における勝利を通じて,軍と参謀本部の権威を増大させた。ドイツの参謀本部は特定の時期に限定された機関であった。ドイツと日本の軍事制度は,ともに軍令と軍政が分離させるものであったが,20 ドイツも日本も参謀本部の権威は勝利とともに高まり,非軍人出身の政治家を軍令だけではなく,次第に,平時に於ける軍政への関与を阻むものとなっていった。第一次大戦前のドイツにおいては統帥権の独立は当然であるという世論が支配的であったが,19世紀前半においてはそうではなかった。フランス革命において欧州大陸に広がった立憲思想は,1814年以降は反動的君主制の下で沈黙していたが,ドイツでも南部では,1818年バイエルン憲法が制定され,立憲思想は一歩進んでいた。議会に国務大臣の弾劾権が付与され,統帥権を国務大臣の責任外にするような規定はなかった。しかし憲法の実際の運用に於いては統帥20 川村康之著「日本とドイツの軍事思想比較―統帥権独立の影響―」日本クラウゼビッツ学会会報1 2007年8 月図2-1 中野登美雄氏による統帥権独立の諸類型(『統帥権の独立』により筆者作成)制限的国家元首主義 普遍的国家元首主義 国家元首主義統帥権独立の類型(接近)前立憲時代の独裁組織大元帥主義統帥権独立組織