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戦争論の系譜(2) 17が確立したことである。加えて天皇大権を背景にした,武官支配の体制によって,軍事費と武官組織の際限なき肥大化は,体制内から制御不能であった。統帥権独立組織が強....

戦争論の系譜(2) 17が確立したことである。加えて天皇大権を背景にした,武官支配の体制によって,軍事費と武官組織の際限なき肥大化は,体制内から制御不能であった。統帥権独立組織が強固になると,日本の場合もドイツの事例も武官による政治支配が生じることは共通している。ハンチンソンが評価した軍のドイツ的形態のプロフェッショナリズムと言いうる期間はモルトケからシュリーフェン時代の一時期であった。ドイツにおいても軍による政治支配が行なわれ,第一次大戦後も統帥権独立組織が隠蔽されて存続し,ナチス党によって統帥権組織は占領された。その点ではドイツ軍をミリタリー・プロフェッショナリズムの典型とはいえず,立憲政下において統帥権独立組織を有した政体は等しく軍国主義の道を歩み,そしてその政体は崩壊の道をたどると言えよう。図2-3 19世紀の一時期にみられたドイツ軍の政軍関係武官部門専門的職業集団professionalism行政・政策・後方部局人事部局幕僚部局均衡均衡文官部門図2-2 日本の二重国家形態論文官部門武官部門