098号

098号 page 20/120

電子ブックを開く

このページは 098号 の電子ブックに掲載されている20ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
18 高知論叢 第98号(5)各国憲法と統帥権の諸類型各国憲法において統帥権が如何に位置づけられてきたのか,筆者による類型区分を示したものが図2-4である。統帥組織がある場合とない場合に大別し,統帥組織がある....

18 高知論叢 第98号(5)各国憲法と統帥権の諸類型各国憲法において統帥権が如何に位置づけられてきたのか,筆者による類型区分を示したものが図2-4である。統帥組織がある場合とない場合に大別し,統帥組織がある場合を国家元首統帥主義,統帥制限主義,統帥多元主義に,ない場合を統帥権非記載に4区分した。本稿における定義はあくまで実態上の運用や憲法外の法律上の定義ではなく,憲法上の条規だけからの区分である。実態運営上の相違は,これに加えて統帥組織がある場合とない場合がある。国家元首が統帥権を明示している国家元首統帥主義の憲法は最も早期に現れた。その理由は君主制時代の統帥権独立に近いからに他ならない。この憲法の例は君主国においては長期に継続した。ただし最も早くこの類型の憲法が制定されたフランスにおいては王制,帝政,共和制と何回も国家統治形態が変化し,主権,兵権の規定の変更がなされた。フランス憲法に明示された,主権,統帥権の変遷は,それ自体が19世紀においてフランスが経験した政治的激動を意味した。1791年フランス憲法を嚆矢とする国家元首統帥主義の憲法は国家元首が統帥権を有する事が明示されており,また君主自身が軍を指揮する事に何ら制限規定がない憲法である。1791年のフランス憲法は1年で改正された。以下に示す図2-4 統帥権の諸類型(筆者による統帥権類型区分)無統帥権非統帥主義統帥権明記無統帥組織国家元首統 帥主義統帥制限主義多元的統帥主義統帥 組織国家元首統帥主義