098号

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戦争論の系譜(2) 33第2に,参謀本部の機密性と結合した日本の官僚組織による官尊民卑の思想は日本の後進性を意味するが,そのことが民間人が関与する政党の関与を排除して,頑なに統帥権独立組....

戦争論の系譜(2) 33第2に,参謀本部の機密性と結合した日本の官僚組織による官尊民卑の思想は日本の後進性を意味するが,そのことが民間人が関与する政党の関与を排除して,頑なに統帥権独立組織を堅持した背景にあった。日本において統帥権独立組織が強化された3つ目の要因は,生命を賭して国体を守る特殊公務員としての優越性が軍内外に認知されていたことである。就中日本軍は皇軍であり,最も君主に近く,国体と一体化した特殊な公務員であった。軍人が生命を賭して守るべきものは臣民ではなく,国体を守るための軍隊であり,統帥権は臣民から超然たる,確固とした独立性の組織であるべきであった。第4に,除隊した退役軍人は在郷軍人会によって,皇軍の強固な支援組織となった。日本軍は共同体から派遣された徴兵による民間人と,軍官僚の二重構造組織を西洋から移入したが,日本の強固な共同体と愛国主義教育に支えられ,日本軍は共同体から強い支援を受け続けた軍となった。明治憲法体制確立過程における統帥権独立組織の形成に関しては次号以降における課題とする。