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35高知論叢(社会科学)第98号 2010年 7 月 論 説価値による剰余価値の創造頭   川     博  はしがき―問題の所在1 剰余価値をうむ価値2 「搾取の数学的証明」の骨子3 剰余条件と価値の自己増殖むすび....

35高知論叢(社会科学)第98号 2010年 7 月 論 説価値による剰余価値の創造頭   川     博  はしがき―問題の所在1 剰余価値をうむ価値2 「搾取の数学的証明」の骨子3 剰余条件と価値の自己増殖むすびはしがき―問題の所在 剰余価値生産は,価値が生産価格へ転化した基礎上でも,一般的にあてはまるから,商品が等価交換されるか否かにかかわらず,なりたつ。そこで,等価交換によらずに,正の利潤率は剰余労働の存在にゆらいすることを説明して,マルクスの剰余価値論にとってかわる「搾取の数学的証明」のこころみが提起される。一見すれば,「搾取の数学的証明」は,等価交換の前提によらないため,剰余価値論としては『資本論』よりすぐれた理論的な普遍性をもつかに映じる。しかし,等価交換によらないという前提は,じつは,等価・不等価にかかわらず,商品交換が価値に立脚しないことである。剰余価値論が等価交換に依存しないということは,剰余価値の発生の秘密が,商品価値の説明なしに,解決可能ということをいみする。ところが,『資本論』は,貨殖のしくみが商品価値を前提にしてのみ解決できることを強調した書物である。けだし,マルクスにあっては,剰余価値は,商品をその基本形態としてもつ価値からうまれる自己増殖分にほかならないからである。剰余価値は,価値そのものの自己増殖分としてのみな