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価値による剰余価値の創造39剰余労働が,交換を媒介にするため,経済的な支配従属関係によってうまれることになる。資本主義では,交換を媒介にして剰余労働が成立するため,労働力のバックに存在する生産条件の排他....

価値による剰余価値の創造39剰余労働が,交換を媒介にするため,経済的な支配従属関係によってうまれることになる。資本主義では,交換を媒介にして剰余労働が成立するため,労働力のバックに存在する生産条件の排他的な所有という敵対的な生産関係が看過されがちな弊害がうまれる。資本主義とそれ以前の生産形態とでは,剰余労働は,ともに強制労働としてなりたつ一面,そこにつらぬく支配従属関係が人身的なものか純粋に経済的なものかというちがいをもつ。直接的な強制労働か媒介されたそれかの相違は,剰余労働が価値の投下にゆらいするか否かに対応する5)。剰余価値が価値からうみだされる関係は,賃労働による剰余労働が,奴隷や農奴のそれとちがって,人身的でなく経済的な支配従属に起因する特有な社会的性格をふくんでいるのである。 以上,本節で,剰余価値は,価値の前貸しによって資本の自己増殖分としてのみ発生する因果関係をといた。1) 資本が価値からなりたつため,その価値の基本形態としての商品の分析から『資本論』ははじまる(拙著『資本と貧困』八朔社,2010年,第1 章「資本と単純流通」参照)。2) 「資本主義社会では生産資本の諸要素は原則として市場で買われる。」(Kapital,Ⅲ , S. 169)3) つぎの文言は,すべて剰余労働がうまれるさいの資本主義の特殊性をあらわす。「生産過程はまったく流通にもとづいている。」(Ibid., Ⅲ, S. 340)「資本主義的生産において, 生産全体が交換価値つまり流通にもとづいている。」(MEGA, Ⅱ/3・5, S. 1577)まさに,資本主義は,「交換価値4 4 4 4 によって支配されている生産様式」(Ibid., Ⅱ/3・4, S. 1247, 圏点―マルクス)・「交換価値を土台とする生産」(Grundrisse, MEGA,Ⅱ/1・1, S. 582)である。4) 「奴隷や農奴などのように彼ら自身が直接に生産手段の一部分である。」(Kapital,Ⅰ, S. 742)「労働者自身4 4 4 4 4 が,すなわち生きた労働能力4 4 4 4 4 4 4 そのものが,なお直接的に客体4 4 4 4 4 4的生産諸条件に4 4 4 4 4 4 4 属し,そのようなものとして取得されている―つまり奴隷または農奴である―諸関係。」(Ibid., MEGA, Ⅱ /1・2, S. 401, 圏点―マルクス)5) 「双方の側のあいだの自由な交換―貨幣流通。支配・隷属関係にもとづくのではなくて,交換価値にもとづく,両極のあいだの連関。つまりこれが意味するのは,生産は,生産者への生活手段の供給を,直接にではなく,交換の媒介によって行なうのだということ, 同様に生産は, 他人の労働を直接にわがものとすることはできないのであって, それをこの労働の担い手から買わなければならない, ということである。」(MEGA, Ⅱ /3・6, S. 2287)資本による等価なしでの剰余労働の取得は,商品交換を根本前提にふくむことに極力注意をようする。等価なしでの剰余労