098号

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戦争論の系譜(2) 3度や,また共同目的のための設備等の続行や維持とは別個の事がらである。この包摂の仕事を一般に取り扱うことは統治権に属することである」2ヘーゲルは官僚制を,国家と市民社会とを媒介する重要....

戦争論の系譜(2) 3度や,また共同目的のための設備等の続行や維持とは別個の事がらである。この包摂の仕事を一般に取り扱うことは統治権に属することである」2ヘーゲルは官僚制を,国家と市民社会とを媒介する重要な役割とみなした。共同体のうちにこそ国家の本来の力は存するものであり,共同体を統治するためには官僚制の役割が大切であることをヘーゲルは強調した。「君主政治が諸種の官庁に委譲する特殊的国務は,君主に内在する主権の客観的面の一部門を構成する…官吏の言動や教養を通して,法律や政府の決定が,個々の問題に接触し現実に適用されるにいたる。したがってこの点が,政府に対する市民の満足と信頼の依存するところであるとともに,また政府の意図の遂行あるいは弱化や腐敗もこれにかかるところである。」3他方でヘーゲルは, 官僚制が国家の中の国家になりうることも忘れていなかった。「中世においてはこうした範域があまりにも課題自立性をえて国家中の国家をなし,独立した団体として傍若無人にその弊をなした」4ヘーゲルはドイツの官僚制度を評価したが,フランスの行政府について次のように苦言を呈した。フランス革命によってナポレオンによって完成された組織は,官僚組織がないに等しい。官庁の組織は共同体への統治を補完するものであり,諸官庁の組織は具体的な市民生活を統治する。「官庁の部門は抽象化されているが,下部から市民生活は具体的な仕方で統治されねばならない」5フランスは官僚制を欠いたことが要因で革命後に政治的混迷を深めたと述べた。ヘーゲルは対内主権と対外主権を区別する。対外主権とは独立した政府に該当する事であり,独自の君主や政府を形成していない地域,民族は主権を有する国民ではない。「国民主権とは一国民が独自の国家を構成する場合だけいわれうる……対内主権についても主権が国家に帰することが示されているとすれば,主権は国民にあるということもできる。けれども国民主権を君主の内に現存する主権に対立するこのと解するのが近世にいたって国民主権が語り始めら2 同上書 246 頁3 同上書 249 頁4 同上書 247 頁5 同上書 247 頁