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54 高知論叢 第98号また,従来より取締役会の形骸化が指摘されていることから,全般経営層がトップ・マネジメントの中核をなすとみなされている22。次に,トップ・マネジメントのあり方の,国家・地域による違い,....

54 高知論叢 第98号また,従来より取締役会の形骸化が指摘されていることから,全般経営層がトップ・マネジメントの中核をなすとみなされている22。次に,トップ・マネジメントのあり方の,国家・地域による違い,または日本企業の諸特徴については,占部編著(1980)23,小林ほか編(1986)24,深尾・森田(1997)25や佐久間編著(2003)26,佐久間編(2005)27等に詳しい。これら諸文献において指摘されている,日本の諸企業における上記3種類の経営機能(または経営層)のあり方の諸特徴のうち,本稿における諸議論に関連の深いものとして,全般経営機能を社長及び常務会が,部門経営機能を主要部門(主要な現業部門,事業部門,職能部門,子会社等)の長などが担当していることが多いこと28や,既に触れたが最高意志決定機関としての取締役会が形骸化し,代わって常務会(またはこれに類する会議体)が実質的な最高意志決定機関となっていること29,そして,意志決定・監督者である取締役が,業務執行者である主要部門の長を兼務しているケースが多いこと30などを, 挙げることができる31。なお後者の,同一人物による意志決定・監督と業務執行の兼務という点に関し,近年では,1997年にソニー株式会社がわが国の企業で初めて執行役員制を導入して以来,主要部門の長を執行役員(委員会等設置会社では執行役)に任命し,意志決定・監督者と業務執行者の分離を図るケースが増えているが,多くの場合,十分に分離されるには至っていないとの指摘がある32。さらに,日本では,従来は取締役(例:代表取締役会長,代表取締役社長,専務取締役,常務取締役,平取締役など)をトップ・マネジメントと解することが多かったようである33。しかし2002年の商法改正により,例えば委員会等設置会社では,取締役会によって選任される執行役(取締役との兼任可能)が,会社の実質的な経営を担当することになった。とりわけ代表執行役は会社の最高経営責任者であり,また対外的に会社を代表するのであるが,この代表執行役をはじめとする執行役も,全般経営機能などトップ・マネジメント機能の担当機関と見なすことができる34。第三項 トップ・マネジメントの範囲に関する筆者の見解以上の諸事情を考慮に入れた上での,トップ・マネジメントの範囲に関する