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国民合意に基づく直接支払制度設計のための論点整理81本の消費者は,例えば海外のコメの品質や価格に関する実感に乏しく,消費者側から負担のあり方を変えてでも価格を引き下げようとする動機づけは弱い。また,多額の負債に悩む日本の財政にとって新たな税制負担を求める改革を納税者が容易に受容するとは考えられない。これらの点は負担のあり方を転換する際にして重要な論点となろう。(2) 支払をめぐる合意形成の日本的特質 すでに述べたように直接支払はTargeting の手法が多様であるため,さまざまな要件のもとで支払を実施できる。このため,EU では地域に応じた多様な制度設計が展開している。日本においても2000年以来独自の直接支払制度が創設されてきた。日本の制度はとりわけ個性的であり,欧州や韓国などの制度には類例をみない設計が随所に見出される。その特徴は以下の3 つに大別できる。 第1 は,経営規模の拡大を促進する手法を直接支払制度に取り込んでいる点である。麦大豆(等)直接支払制度では,個別農家や集落営農の受給要件をそれぞれ 4 ha,20 ha 以上の経営耕地規模とし,平均的な規模を上回る閾値を設定している。裾切りの制度とも呼ばれるこの仕組みは,海外に類例をみない。図7は,スイスや韓国の主要な直接支払制度と麦大豆(等)直接支払(個別農家)を比較したものである。農家の経営規模との関係でいえば,スイスの支払は逓減的であり,韓国は一定である13。また,J, K, CH はそれぞれ日本,韓国,スイスの13 EU の制度もスイスと同様であり,逓減的な支払体系となっている。図6 直接支払制度の分類? デカップル? 条件不利地? 環境保全? 輸出補助金削減? 国境措置削減? 市場介入予算削減cba国際規律適合的負担者の転換直接支払