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96 高知論叢 第98号国的にも有名な漁業として,かつては捕鯨があり,現在でも,かつお一本釣漁やまぐろ延はえ縄なわ漁は全国有数の実績を誇っている。平成20年の全国の漁業種類別漁獲量のうち, 高知県は沿岸かつお....

96 高知論叢 第98号国的にも有名な漁業として,かつては捕鯨があり,現在でも,かつお一本釣漁やまぐろ延はえ縄なわ漁は全国有数の実績を誇っている。平成20年の全国の漁業種類別漁獲量のうち, 高知県は沿岸かつお一本釣漁獲量が6,800トンで全国1 位, まぐろ延縄漁獲量が19,500トンで全国3 位となっている13。同年の高知県の海面漁業全体の漁獲量は97,000トンで,都道府県別で13位となっている14。平成20年の漁業種別漁獲量では,かつお一本釣,まぐろ延縄のほか,定置網19,300トン,中・小型まき網15,200トン, ひき縄釣9,100トンとなっており, また海面養殖業の収獲量は16,900トンとなっている15。遠洋・近海漁業,沿岸漁業,海面養殖業が,バランスのとれた形で県内水産業を牽引している。 しかしながら,漁業を取り巻く内外の情勢の悪化により,高知県の漁業が非常に厳しい状況に立たされていることもまた事実である。表1 は,高知県内の漁業従事者数および漁業経営体数の推移を表したものである。1988(昭和63)年から2008(平成20)年までの20年間で従事者数が10,227人から4,905人へと半減しており, 経営体数も4,770経営体から2,761経営体へと40%以上減少している。漁業従事者数については,特に,働き盛りであり漁業の中心を担う40才~59才男性の従事者数が4,991人から1,665人へと大幅に減少している。20年間で中心的な漁業従事者が1/3にまで減ってしまったことになる。漁業における担い手の不足と高齢化が,非常に深刻になってきている。 従事者数および経営体の減少は当然,漁獲量,生産額に直接影響を及ぼしている。表2 は,高知県の水産業の推移を示したものである。1988(昭和63)年か13 農林水産省「平成20年漁業・養殖業生産統計」(平成21年4 月30日公表,5 月1 日訂正)。かつお一本釣全体(遠洋・近海・沿岸合計)では25,900トンで全国2 位( 1 位は宮崎30,800トン)。全国合計は115,600トン。まぐろはえ縄漁(遠洋・近海・沿岸合計)は宮城県が40,300トンで1 位,全国合計は167,000トンとなっている。ただしかつお・まぐろ類には遠洋まき網漁もあり,こちらのほうが漁獲高は大きい。まぐろ類の漁獲量は合計22,700トンで全国3 位(全国計は216,900トン,1 位は静岡で30,100トン),かつお類は合計33,700トンで全国4 位(全国計は331,500トン,1 位は静岡82,700トン)となっている。14 前掲注13参照。全国合計は4,367,500トン。内水面漁業を含めた漁業・養殖業の生産量全体は5,588,000トンとなっている。15 農林水産省中国四国農政局高知農政事務所「平成20年高知県の海面漁業・養殖業生産量(概数)」(平成21年4 月30日公表)。