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98 高知論叢 第99号研究とは立ち位置が異なる研究として,山田[1992]がある。そこではエレクトロニクス分野の8 製品分野と建設機械の合計9 製品分野を事例として,製品ライフサイクルに応じた戦略的OEM 活用の実....

98 高知論叢 第99号研究とは立ち位置が異なる研究として,山田[1992]がある。そこではエレクトロニクス分野の8 製品分野と建設機械の合計9 製品分野を事例として,製品ライフサイクルに応じた戦略的OEM 活用の実態を明らかにされている。そこでは,先に挙げた先行研究とは異なる視点が盛り込まれており,OEM 活用はコスト・リスク削減以外という動機だけではなく,たとえば自社が推進する技術・製品規格を普及させるためにOEM 受注を行う事例などが挙げられており,OEM のもつ戦略的意図が強調されている。Ⅲ 販売・生産・開発の諸機能間の能力ギャップと外部組織活用 の論理これまでにみてきたように,外部組織活用の形態は多様であるが,往々にして活用の動機とされるのが,企業が抱えるコストやリスクの削減ということに集約される。われわれも外部組織活用の基本的な動機としては同様に考えているが,企業にとってのコストやリスクは企業がどのような条件下におれているかによって,中身が異なる。われわれは,個々の企業が抱えるリスクを,販売・生産・開発という企業内部の諸機能間の能力ギャップが生み出す需給ギャップを解消するための手段として,外部組織の活用を位置づける分析視角を導入したい。企業があらかじめ計画した販売量・生産量を完全に達成することはまずあり得ない。仮に生産実績が販売実績を上回った場合には,過剰在庫を抱えたり,設定した売価を下回る価格で販売するという方法で両者のギャップを埋めようとする。反対に,販売実績が生産実績を上回った場合には,販売機会の損失を容認しているということがいえる。また,ある一定の生産量,販売量でもって費用を回収する製品を開発した場合,目標を達成できない事態や設定した量よりも大幅な需要が発生しているという事態が起こると,原価割れのリスクが発生したり,販売機会の損失が生じるといったことが想定される7。こうした事態7 ここでいうコストとは,製品開発にかかるコストや新たに導入した製造設備に要したコストなど,新製品投入によって生じたコストである。