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100 高知論叢 第99号生産・販売・開発戦略とは,機能間ギャップを解決する方法である。そこで,はじめに確認して欲しいことは,機能間ギャップが生じている状況を受け入れるという選択肢が共通して示されていること....

100 高知論叢 第99号生産・販売・開発戦略とは,機能間ギャップを解決する方法である。そこで,はじめに確認して欲しいことは,機能間ギャップが生じている状況を受け入れるという選択肢が共通して示されていることである。機能間ギャップに対処しないことは一見非合理にみえるが,必ずしもそうとは限らない。たとえば,需要に対して過少な供給しかできない状況(販売力が生産力を上回っている状況)を維持することで,顧客が一種の飢餓感から当該製品を求め続けるという状況を完成品企業が作り出したいのかもしれない。他にも,強力な販売チャネルやブランドを持ちながら,当該製品分野で開発力が販売力を大幅に下回っているときに,安易にODM 調達を行うのではなく,持続的な競争力の獲得のために地道に自社の開発組織を鍛えるステップバイステップの学習を選択する完成品企業もあるだろう。以上のような戦略的判断を企業は往々にして行っているが,その選択もまた選択肢のひとつであったのではないか。外部組織を活用したり,外部組織として活用されたりする選択肢も論理的には存在したはずである。そこで,以下では,諸機能間に能力ギャップを認識したとき,企業はどのように外部組織と関係を結ぶことによって,ギャップを埋めようとするのかを整理してみよう。表2 をみると,それぞれ販売力が過剰の場合は外部組織からOEM あるいはODM 発注によって製品供給を受けるという選択肢があり,逆に販売力が相対的に過小のときには,余剰が生じている機能を外部に供給する(OEM /ODM 受注,開発受託)という選択がある。生産力がその他の機能より相対的に過剰である場合は,OEM あるいはODM を受注することで他社に製品供給を行い,逆に過小だとOEM あるいはODM 発注,または開発受託という形で販売力,開発力とのギャップ埋めるという選択肢がある。最後に開発力がその他の機能より相対的に過剰な場合は,開発受託やODM 受発注を行うことで余剰能力をフル活用しようとする選択肢があり,逆に開発力が相対的に過小であると,OEM 受注,ODM 発注によってそのギャップを埋めようとする選択肢がある。そして,表2 にある機能間ギャップの状況の組み合わせを考えると,表3 のように論理的に8 通りのパターンが存在する。しかし,販売・生産・開発の3 つの機能を同時に比較することは,理解を非