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機能間能力ギャップにみる外部組織の活用論理103ODM 受注,開発受託を行うことになる能力ギャップを持つ類型である。類型Ⅲ 販売力<生産力,販売力>開発力販売力に対して生産力が過剰な状態で,さらに開発力に対....

機能間能力ギャップにみる外部組織の活用論理103ODM 受注,開発受託を行うことになる能力ギャップを持つ類型である。類型Ⅲ 販売力<生産力,販売力>開発力販売力に対して生産力が過剰な状態で,さらに開発力に対して販売力が過剰な状態である類型となる。この場合,当該企業が外部組織を活用するには,開発力の低さを補うために,他社が開発した製品を調達するODM 発注か,開発委託を行うかという選択肢があり,外部組織に活用される場合には,余剰の生産力を埋めるためにOEM 受注するという選択肢を持つことになる類型である11。類型Ⅳ 販売力<生産力,販売力<開発力販売力に対して生産力が過剰な状態にあり,さらに販売力に対しては開発力が過剰な状態にある類型である。こうした機能間能力ギャップを持つ企業は外部組織としてOEM / ODM 受注を獲得することによって,能力ギャップを解消する選択肢をもつことになる。以上のように,分析しようとする企業の機能間能力ギャップを把握することによって,彼らがどのような生産・販売・開発戦略(OEM / ODM 受発注,開発受託/委託)をとることになりそうなのか理解することができる。さらに,外部組織の活用を行っていない企業の場合,機能間能力ギャップを把握しておけば,その意図を推測することも可能になる。たとえば,類型Ⅰの状況にある企業がOEM / ODM 発注を行っていないとすれば,それは顧客にある種の飢餓感を持たせることからブランドロイヤリティを高めようとしているのかもしれないし,生産力や開発力を徐々に高めることによってその組織能力を未来の競争力の源泉にしようと考えているかもしれないなどという推測である。それでは,実際の企業を題材に,機能間能力ギャップが企業行動としてどのように表われているかについて概観してみたい。11 類型Ⅱと同様に,現実的にはODM受注を行うことになるかもしれない。しかしながら,その場合, 販売力に対する開発力の能力ギャップはさらに拡大することになり,ODM受注すると同時に,他方では,ODM 発注するという組み合わせの必要性が生じる。