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108 高知論叢 第99号画を提案することで完成車の調達ができる。例えば,日本の自転車専門店大手のあさひ(店舗名:サイクルベースあさひ)では,年間販売台数65万台の中でPB 率は50%であり,ODM 調達を活発に行っ....

108 高知論叢 第99号画を提案することで完成車の調達ができる。例えば,日本の自転車専門店大手のあさひ(店舗名:サイクルベースあさひ)では,年間販売台数65万台の中でPB 率は50%であり,ODM 調達を活発に行っている。最後に,海外メーカーに目を向けてみよう。ここでは世界最大の完成車メーカーであるジャイアントについて考えたい。ジャイアントは年間500万台を超える自転車を生産している。しかし,彼らはそれのすべてを自社ブランドで販売という訳ではない。ジャイアントでは,金額ベースでOBM とODM の比率が 70対30となっているという15。つまり,世界最大手の完成車メーカーであれども,自社ブランドだけでは自社の生産能力を埋めるだけの販売量を確保できないことになる16。その意味では,販売力に対し,生産力に余剰がある状態であるといえよう。では開発力と販売力の関係はどうなっているのであろうか。ジャイアントの有する製品ラインナップは,レースに使用される超高級ロードバイクから軽快車までである。このうち少なくとも,自社ブランドの車種に関しては,毎年モデルチェンジを行い,さらに主要部品であるフレームやサスペンションにおいては業界内でも先進的な開発を行なっていることから,非常に高い開発力をもっていると考えられる。しかし,自社開発の製品で全販売台数を達成している訳でないことから,販売力が開発力を上回っているといえる。すなわちジャイアントは類型Ⅳに分類される。では,ジャイアントはどんな企業行動を採っているのだろうか。表5 でも確認できるようにGIANT CHINA がホダカに,GIANT PHENIX がパナソニックサイクルテックに供給している。自社の余剰の供給力と開発力を活かして日本市場における中価格帯から高価格帯の製品においてOEM / ODM 供給を行っているようである。3 デジタルスチルカメラ産業における外部組織の活用それでは,最後にデジタルスチルカメラ産業の事例をみていこう。デジタルスチルカメラ産業では,販売力を増強しない(できない)ままの状況で,生産力や開発力を高めることによって成長してきた日本企業と台湾企業(例えば,Ability,15 台数ベースに換算するとOBM の占める比率はやや低下する(聞き取り調査による)。16 なお,全部自社ブランドであるべきだと主張するものではない。