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機能間能力ギャップにみる外部組織の活用論理109Altek,Asia Optical,旧Premier,三洋電機など)がある。旧Premier やAsiaOptical,三洋電機は自社ブランドでの製品展開を行っているが,生産力や開発力に対して販売....

機能間能力ギャップにみる外部組織の活用論理109Altek,Asia Optical,旧Premier,三洋電機など)がある。旧Premier やAsiaOptical,三洋電機は自社ブランドでの製品展開を行っているが,生産力や開発力に対して販売力が著しく不足している。同様に,その他の企業は販売力の強化そのものを意識していないような状況のため,これらの企業は類型Ⅳに分類される。この企業群はグローバル市場で販売力を持つメーカー(オリンパス,カシオ計算機,Kodak,Samsung,ニコン,富士フイルムなど)やローカル市場で一定の販売力を持つメーカー(AGFA,Praktica,Vivitar など)に対して,ODM 供給を行うことによって,生産力や開発力に対して圧倒的に不足する販売力を補っている。それでは,グローバル市場で販売力を持つメーカーはどのような状況だろうか。ここではKodak と富士フイルムを取り上げてみたい。まず,Kodak はフィルムカメラ時代からグローバル市場において強力な販売力を持つ企業である。その一方で,カメラ本体の生産力の強化については業界において相対的に消極的であったが,中国の生産拠点(コダックエレクトロニクスプロダクツ上海:KEPS)を増強してきた。しかし,販売力との比較においては能力不足が生じるばかりであった。デジタルスチルカメラにおいては,Kodak は基礎的な研究開発を含め製品開発についても積極的に行ってきたが,1995年に幕開けする民生用市場における新製品競争には遅れがちであり,販売力に対して開発力が不足するという事態であった。つまり,類型Ⅰに分類される状況にあった。そこで,Kodak はフィルムカメラ時代にもOEM 調達を行ってきたチノンとデジタルスチルカメラの共同開発を1994年から開始し,その後,OEM/ODM 調達を行い,チノンの財務状況の悪化に伴い1997年に子会社化,2004年にはコダック・デジタル・プロダクト・センター(KDPC)と合併させることで生産力および開発力の補強を行った17。しかしながら,2006年にKDPC はKEPS とともにFlectronics に売却され,1990年代から高めてきた生産力と開発力を手放すことになった。その結果,先に確認したように販売力が生産力や開発力に比べ絶対的に不足しているODM 企業からの調達によって,Kodak は生産力と開17 Kodak とチノンとの取引関係の実態については,島谷[2007]が詳しい。