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112 高知論叢 第99号すことはある程度可能である。なぜなら,生産力は抱える生産設備や労働者数,それに稼働時間から生産能力を導くことができ,販売力についても流通チャネルの状況やブランド力から例年これくらい....

112 高知論叢 第99号すことはある程度可能である。なぜなら,生産力は抱える生産設備や労働者数,それに稼働時間から生産能力を導くことができ,販売力についても流通チャネルの状況やブランド力から例年これくらいの販売量が見込むことができるという概算を掴むことができ,それらを比較すればよい。しかし,開発力を測定する段階になると,比較は複雑になる。開発力を新開発製品数やラインナップの広さなどで測定すると,それに応じた生産力や販売力はどのようなものを測定すればよいのだろうか。もし,測定するものが見つかったとしても,その比較から発見できる機能間の能力ギャップが外部組織と活用論理に影響を及ぼすのかも疑問がある。本稿では,諸機能の能力をどのようなものか定義せずに議論をスタートしたが,それはこうした問題があったからであり,本格的な産業間比較を行う際には,この点はクリアしておくべき課題になり,すぐに検討に入るべき課題である。つぎに,本稿では,販売力視点を中心に検討してきたが,生産力視点や開発力視点も存在する。これらの視点を導入して,Ⅳで分析した事例をみた場合,図3 と同じように能力ギャップからみたときに論理的妥当性のある事例として分析できるのだろうか。また,販売力視点,生産力視点,開発力視点は,とりあえず「視点」と呼んだのであるが,それぞれの視点は異なる何かをよりよく見せるものなのだろうか。この点,ひとつ目の課題とともに早急に検討すべき課題であろう。他にも多くの課題を抱えているが,ふたつの課題に早速取り組みたい。参考文献秋野晶二[2008]「EMS の現代的特徴とOEM」『立教マネジメントレビュー』創刊号。石井真一[2000]「自動車産業における提携プロジェクトの分類―パートナー間の機能的連関と提携動機―」『経営研究』大阪市立大学経営学会。石井真一[2002]「自動車産業における戦略的提携の経時的分析(1985-1996年)―対象市場とパートナー属性,企業間分業―」『経営研究』大阪市立大学経営学会。小池洋一[1997]「OEM とイノベーション」『OEM とイノベーション―台湾自転車工業を事例として―』アジア経済研究所,第38巻第10号。小池洋一[2006]「東アジアにおけるグローバル・バリュー・チェーンの発展―自転車工業の事例」平塚大助編『東アジアの挑戦』アジア経済研究所。