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明治太政官制成立過程に関する研究 1 19具視に対して最も影響力を行使していた大久保利通の名はないが,藩士出身の参与による回覧文書として,岩倉具視の名で回覧した。「中山一位殿,徳大寺殿,中御門殿,土佐中納....

明治太政官制成立過程に関する研究 1 19具視に対して最も影響力を行使していた大久保利通の名はないが,藩士出身の参与による回覧文書として,岩倉具視の名で回覧した。「中山一位殿,徳大寺殿,中御門殿,土佐中納言殿,越前中納言殿,宇和島宰相殿」という文書を諸侯, 公家宛に起案した。新政府への岩倉とその背後の藩士の影響力を窺うことができる。(4)新政府への官吏登用大政奉還以降の政治的権力は,明治天皇と外祖父中山忠敬の権威を利用した,薩長土肥を中心とする各藩の軍事力,経済力がその源泉であった。ただし,新政府は旧藩主への新しい知行と石高を賦与するとともに,兵力を石高に応じて供出させたために,旧藩主の軍事的,経済的権威は,版籍奉還までは損なわれることがなかった。下級士族による国政への関与は,彼らが高官として登用されることに始まる。図6 に政体書時の官吏等級表を示した。この等級表の意義は,旧幕府・朝廷の官吏等級表を新政府の集権的官吏等級表に集約したことにある。彼らの登用は三條実美,岩倉具視という,孝明天皇時代においては決して重用される事がなかった公卿が,朝廷の実権を掌握したことに依っており,三等官以上の高級官吏は岩倉具視,三条実美に近い士族が推薦され,四等官以下の官吏は高級官吏によって推薦され,登用された。この時期における政権にとっての重要事項であった事は,自らの門閥で優秀な官吏を多く採用する事であった。官吏登用について岩倉具視を通じて建言を最も積極的に行っていた人物は大久保利通であった。大久保利通は人事と経済政策について以下のように「岩倉公に呈せし覚書」を明治元年閏4月に提出した。「三條公ノ東行已ニ決セルヲ以テ関東ニ於ケル措置ニ付キ条項ヲ列挙シ意見ヲ具陳 一米穀並金之事 一御人撰之事 但於彼地精撰」26 長州閥の木戸,伊藤は新政府について大久保等薩摩閥と協議したが,26 大久保は同4 月において岩倉に人事構想を示した。「議定参与ノ人撰ニ関シ意見ヲ長せられたるに対し答えたるもの」閏4 月13日 『大久保利通日記二』昭和2 年4 月25日東京大学出版会