099号

099号 page 29/122

電子ブックを開く

このページは 099号 の電子ブックに掲載されている29ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
公共性研究の方法と公共性三元論(上) 27 最初に,わたしの公共性研究の方法を,簡単に紹介しておこう(図表1参照)。 第1に,財・サービスの素材的・物理的性質やそれらの属性でもって公共性を定義するのでは....

公共性研究の方法と公共性三元論(上) 27 最初に,わたしの公共性研究の方法を,簡単に紹介しておこう(図表1参照)。 第1に,財・サービスの素材的・物理的性質やそれらの属性でもって公共性を定義するのではなく,人間の集合的行為関係・行為様式として公共性を明らかにしようとするものである。 財・サービスの素材的・物理的性質やそれらの属性で公共財を定義する方法論は,経済学分野のサミュエルソン氏やマスグレイブ氏などの新古典派や公共経済学派の公共財論に典型的にみられるものである。 これは公共財の定義を,「非排除性」と「非競合性」という財・サービスの素材的性質や物理的属性に求めるものである。非排除性とは,「他人の消費を排除できないこと」であり,サミュエルソン氏によって提唱された定義である。非競合性とは,「ある人が消費しても他の人の消費を妨げないこと」であり,マスグレイブ氏によって提唱されたといわれている定義である。2)図表1 紀国による公共性研究の方法? 財・サービスの素材的性質・属性としての公共性→人間の集合的行為関係・行為様式としての公共性? 理論・理想としての公共性→現実的・実際的な人間の行為に関係するものとしての公共性? 一面的・一義的な内容をもった公共性→多様で多面的な人間の集合的行為関係・行為様式を表したものとしての公共性? 公共性疎外なしの公共性→公共性疎外ありの公共性? 静態的・固定的・普遍的に存在するものとしての公共性→動態的・創造的・永続調整を必要とするものとしての公共性? 政治・行政分野や財政分野に限定されるものとしての公共性→金融分野をふくめより広く統一的・簡潔に説明できる公共性? 国内分野に限定されるものとしての公共性→国際分野をふくめより広く統一的・簡潔に説明できる公共性? 閉ざされた硬直的な公共性研究の方法→応用・展開が自由で可能な公共性研究の方法出所)筆者作成