099号

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公共性研究の方法と公共性三元論(上) 31分野そして国際機関に多くの優れた研究成果がそろっている。しかし国内分野の公共性と統一的に説明できる理論的枠組みがそろったとは言い難い。7) 金融はその特性からも....

公共性研究の方法と公共性三元論(上) 31分野そして国際機関に多くの優れた研究成果がそろっている。しかし国内分野の公共性と統一的に説明できる理論的枠組みがそろったとは言い難い。7) 金融はその特性からもっとも国際化・グローバル化しやすいものであるので,金融の国際公共性としての考察が不可欠なのである。 第8に,閉ざされた硬直的な公共性研究の方法ではなく,応用・展開が自由で可能な公共性研究の方法を求めようとするものである。 理想型に閉じ込めるのではなく,あるいは研究者が頭で考え出した理論型の範囲に押し込めるのではなく,さらに仮想モデルや理論ゲームの範囲に現実を当てはめるのではなく,具体的・現実的な歴史をもっと広く柔軟に分析することが必要になる。 本稿においても,硬直的になることなく,公共性とは多様で多面的であり,いろんな可能性があり得ることを念頭において展開してみたい。第2章 私的利用様式私的利用様式(単純対等ケース) 最初に私的利用様式について,考えてみよう。 図表2は,私的利用様式を単純に図解で表したものである(図表2参照)。この簡単な図を使って,私的利用様式のほぼすべてを語ることができる。ただし,図解はあくまで人間の思考を助けるための手段であって,それですべてのことを表すわけではない。わたしは図解を多用するが,それはあくまでわかりやすく理解するための手段としてのものであり,これによって伝えたいイメージを容易に共有できるからである。 この図表は,利用者Aと利用者Bがそれぞれの私的領域にある利用対象物[U]を,利用者それぞれが私的に利用していることを表したものである。ここで示したAあるいはBという人間は,現実の一人の人間であるとともに,それら個人の単なる集合体でもあると,いちおう設定しておきたい。 左右の利用対象物[U]の間には縦に波線が引いてあり,これによってAの私的利用領域とBの私的利用領域が,空間的にも時間的にも,遮断されているこ