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36 高知論叢 第99号 空間や景観を自分だけで楽しみたかったら(投入),他人の利用を排除するための遮へい物や高い塀を自分で構築すればよい(投出)。 公園のような場や空間でのやすらぎや憩いというサービスを....

36 高知論叢 第99号 空間や景観を自分だけで楽しみたかったら(投入),他人の利用を排除するための遮へい物や高い塀を自分で構築すればよい(投出)。 公園のような場や空間でのやすらぎや憩いというサービスを自分のために得るには(投入),自分専用の庭園や空間を造成したり草取りなどの補修や維持のための労働や費用を自分で負担しなければならない(投出)。 人工的な音を自分のために楽しむためには(投入),自ら楽器を作成して演奏の練習などをしなければならない(投出)。自分で絵画などの美術品を鑑賞するためには(投入),自分の感情や心を投影させたそのような美術品を作成しなければならない(投出)。 これらのさまざまな働きかけをする試行錯誤の過程で(投出),いろんな法則や発見,有用物や有用性に関する知識や情報,利用方法についての方法や技術(ノウハウ)などを得られ,今後の活用のために自分の中に蓄積できる(投入)。これらの知的生産物は一度発見されれば,記録や記憶,伝達や継承などのコスト以外の費用はかからない。 前述したように人間を奴隷という私的財にすることも可能であり,奴隷によるいろんなサービスを受けるために,あるいは農耕などの労働をさせてその成果を受け取るためには(投入),その奴隷の生命やエネルギーを維持するための水や食料そしてサービスに必要な知識を奴隷に提供しなければならない(投出)。 利用者Aは,自分だけが,自分の利益のために,自分の考えや裁量と工夫で,投出と投入行為をする。同様に利用者Bにとってもそうである。私的利用様式とは,このような三つの行為側面から構成されている。この三つの行為側面を,私的利用(private use),私的利益(private interests),私的制御(privatecontrol)とよぶことにしよう。実際の投出・投入行為においては,この三つを厳密に分離することはできなく,一つの行為過程に一体化されている場合があるので,三つの行為側面と表現することにする。 私的利用とは,これまで具体的に述べてきたように,利用対象物[U]について,他人の利用を排除し,自分だけが投出と投入行為をすることができることである。 私的利益とは,これらの投出と投入行為によって,自分の利益(自分の生命