099号

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公共性研究の方法と公共性三元論(上) 37の維持や欲求の満足)を生み出すことである。投出と投入によって発生する利益は,利用者のみに帰属する。[U]から受ける利益の内容は,[U]の素材的性質によって異なる....

公共性研究の方法と公共性三元論(上) 37の維持や欲求の満足)を生み出すことである。投出と投入によって発生する利益は,利用者のみに帰属する。[U]から受ける利益の内容は,[U]の素材的性質によって異なる。 私的制御とは,自分だけが,自分のために,自分で投出と投入行為をコントロールすることである。 [U]の素材的性質によって,その私的制御方法は異なる。投出と投入の確認,記録,計量,計画,予定,予測,その人独自の物理的な計量方法や計量単位(度量衡),その人独自の労働時間の投入の計算方法や計量方法,計量単位,記録,配分,どこにどれだけなにを投出してどのような投入をどれだけ得るのか,禁止事項などの私的規範などのことも決めなければならないかもしれない。スケジュール管理も求められ,農作物だと種植時期や水やりの管理,連作障害を防ぐ工夫なども必要になる。有用資源を持続的に利用し,使い尽くさないようにするための資源管理は重要である。 マルクス氏は,『資本論』において孤島で暮らすロビンソン・クルーソーを引き合いに出して,次のようにいう。「生来質素な彼ではあるが,彼とてもいろいろな欲望を満足させなければならないのであり,したがって道具をつくり,家具をこしらえ,ラマを馴らし,漁猟をするなど,いろいろな種類の有用労働をしなければならない。…(中略:紀国)…必要そのものに迫られて,彼は自分の時間を精確に自分のいろいろな機能の間に配分するようになる。彼の全活動のうちでどれがより大きな範囲を占めどれがより小さな範囲を占めるかは,目ざす有用効果の達成のために克服しなければならない困難の大小によって定まる。経験は彼にそれを教える。そして,わがロビンソンは,時計や帳簿やインクやペンを難破船から救いだしていたので,立派なイギリス人として,やがて自分自身のことを帳面につけはじめる。彼の財産目録のうちには,彼がもっている使用対象や,それらの生産に必要ないろいろな作業や,最後にこれらのいろいろな生産物の一定量が彼に平均的に費やさせる労働時間の一覧表が含まれている。ロビンソンと彼の自製の富をなしている諸物とのあいだのいっさいの関係はここではまったく簡単明瞭なので,たとえばM. ヴィルト氏でさえも特に心を労することなくこの関係を理解することができたことであろう。」8)