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公共性研究の方法と公共性三元論(上) 41Bにもいろんな作用や影響を及ぼすようになる。 以前にはAによる排他的利用権があった[U]が,今ではAだけでなくBもそれに対して利用接近と利用が可能になった。Bの....

公共性研究の方法と公共性三元論(上) 41Bにもいろんな作用や影響を及ぼすようになる。 以前にはAによる排他的利用権があった[U]が,今ではAだけでなくBもそれに対して利用接近と利用が可能になった。Bの立場からみても同様のことがいえる。 このようにして,[U]は,AとBの共同利用対象物(共同利用財)になり,[U]は,AとBの公共財(public goods or common goods)としての社会的名称を与えられ,[U]p と表示されるようになる。 [U]を[U]p という公共財にするのは,AとBの複数人による共同利用という利用関係と利用様式であって,そのことによって「公共財」という名称や,「公共性」がある,「公」のものであるなどの,それを尊重すべき規範的名称が与えられるのである。 [U]を[U]p にするのは,利用対象物[U]の素材的性質や属性などではない。つまり新古典派や公共経済学派が主張するように,[U]それ自体が他人の利用を排除できない「非排除性」という性質をもっているからではなく,共同で利用するという行為関係・行為様式がそのような名称を与え,そのような概念を必要としたのである。他人の利用を排除できないから公共財になったのではなく,その利用を排除しないという共同利用様式であることから,共同利用財に公共財という名称が与えられたのである。10) マルクス氏は,『資本論』において商品や貨幣の社会的働きを説明する際に,「商品と貨幣の呪物的性格」などという難解な用語を使用したが,要するに,その素材的性質を利用している事物に,そのような社会的働きを表す名称を与えることをいう。みんながそのように言って,そのように取り扱い,そのように尊重することによって,その事物はそのような社会的性質や役割を,生まれながらにして身にまとっているかのようにみえるのである。11) 共同利用様式においては,Aの投出・投入行為とBの投出・投入行為が,さまざまな利用対象物について,さまざまな方法で結合される。このことについては後ほど詳しくみる。 複数の人が投出と投入行為の結合という共同利用関係を結ぶことを公共性といい,その利用対象物になったものを公共財と定義する。利用者AとBは,複