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44 高知論叢 第99号 私的利用様式では投出と投入の相互作用と相互依存関係は簡単で明瞭であり,透明性と可視性は高かったが,共同利用様式においての大きな問題点は,その関係が複雑で不明瞭になり,不透明性と不....

44 高知論叢 第99号 私的利用様式では投出と投入の相互作用と相互依存関係は簡単で明瞭であり,透明性と可視性は高かったが,共同利用様式においての大きな問題点は,その関係が複雑で不明瞭になり,不透明性と不確実性そして不安定性が増すことである。 それは,双方それぞれが自分の私的領域をこえた他人に依存するからであり,おたがいが,おたがいのことがよくみえない,よくわからない他人の投出と投入に依存しているからである。他人の投出と投入過程に自分のもののように我が物顔で踏み込めば,それはプライバシーの侵害であり,また私的領域権の侵害になる。 しかし,共同利用関係にある利用者の間に投出と投入行為の相互作用と相互依存の関係が発生していることを,AとBが容易に認識できその自覚と共感をもてることは,共同制御の核心である。このためにはそのことについての情報を得るしか方法はなく,AおよびB双方が,次のようにして,それぞれについての情報を相互に投出・投入することがきわめて重要になる。 第1に,投出と投入行為の相手先についての重要情報(信用情報),投出と投入行為の内容についての重要情報,投出と投入行為が社会的責任を果たしているかどうかの重要情報(社会的責任情報),これらの重要情報の正確で確実な表示と開示・公開の実効性をすすめることである。 第2に,上記の重要情報は,どのような状況にあるどのような人にとっても,簡単に情報を入手でき,内容は簡単・明瞭であり,だれにとってもわかりやすいものであることを必要とする(情報ユニバーサルデザインあるいはソフトウェアーユニバーサルデザイン)。 第3に,公正で専門的な第三者機関による情報の認証と検証,およびトレーサビリティ(投出と投入履歴の追跡可能性)制度をもうけ,事後検証が可能であることである。 第4に,公正で専門的な第三者機関による立ち入り調査や公権力による規制と監督および公正と実効性のある規制制度を策定することである。 AとBが近隣や血縁・地縁などの親密な関係にあり双方に信用と信頼関係があれがそうではないが,二人の物理的・地理的・文化的な親密関係が疎遠になり,上記のような情報認識機能が働かなくなればなるほど,不透明性と不確実