099号

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公共性研究の方法と公共性三元論(上) 45性そして不安定性は増大する。 その結果,環境汚染をして安価に作られた製品を買わされたり,よく理解できない難解な情報や虚偽の情報によってだまされたり,偽札・偽金や....

公共性研究の方法と公共性三元論(上) 45性そして不安定性は増大する。 その結果,環境汚染をして安価に作られた製品を買わされたり,よく理解できない難解な情報や虚偽の情報によってだまされたり,偽札・偽金や減価した貨幣をつかまされたり,重量や表示をごまかされたり,宣伝とは異なる粗悪品や毒薬の入った食料品を買わされたり,社会的不正により調達した物品を買わされたり,有利な投資先があるとの甘い話でお金をだましとられたりするリスク(信用リスク:取引相手リスク)が,生じるのである。 アメリカ発の世界金融危機にみられるように,信用の崩壊や風評の広がりによる集合的不安定性は,共同利用関係の崩壊につながり,社会に甚大な被害を与えるのである。 以上のように共同利用関係という人間の集合的行為関係・行為様式は,三つの行為側面をもっているので,そのそれぞれの行為側面について多様な方法や質的水準があり,それらはたえず変動するとともに,その三つの行為側面は相互に関係しあって作用する。したがって,多数の,多様な,重層的に関係して動態的に存在する人間の集合的行為関係・行為様式を,そのようなものとして柔軟に総合的にとらえる方法が必要になる。このような方法論をわたしは「公共性三元論」とよぶことにした(図表4参照)。 多様な共同利用行為のそれぞれについて多様な方法と質的水準があることは,図表における太い三本の矢印軸で表すことができる。共同利用軸,共同制御軸,図表4 公共性三元論出所)筆者作成共同利用共同利益共同制御