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公共性研究の方法と公共性三元論(上) 47 しかし,自然環境には,他の人や人々の利用を排除する利用様式もたくさん存在するし,会員制のクラブ財(例えばスイミング・クラブ)であっても,十分なスペースと余裕が....

公共性研究の方法と公共性三元論(上) 47 しかし,自然環境には,他の人や人々の利用を排除する利用様式もたくさん存在するし,会員制のクラブ財(例えばスイミング・クラブ)であっても,十分なスペースと余裕がなければ,ある人の消費が他の人の消費を妨げる(混雑する)ことはある。私的財が完全に自分だけで消費できるなら(排除性),他の人の消費を妨げることはあり得ない(非競合性)。みんなが利用している道路が混雑する時だけ私的財に近くなるというに至っては,不思議というほかない。私的財に近くなるなら,利用における私的自由は拡大するはずである。 人間の集合的行為関係や行為様式の有り様が,共同利用の範囲(利用排除の範囲)やそれによって可能な財・サービスの性質や量を決めるものであるのに,それを逆さまにして,「非排除性」と「非競合性」という財・サービスの素材的性質でもって公共財かどうかを決めようとした方法論に問題があったのである。 共同利用方法には,投出行為と投入行為の結合方法の相異および[U]p の素材的性質の違いに対応して,自然界共同利用,伝達的共同利用,単位的共同利用,合同的共同利用,相互扶助的共同利用,交換的共同利用,貨幣的共同利用,貸借的共同利用などの多様な方法があり,これらがさまざまに組み合わさって,おたがいに他の働きを補完しあって複合的に機能する。 自然界共同利用とは,太陽光,大気・気流,雨・雪などの降水,気候,温度,海洋・海流,海岸・浜・干潟,深海底,河川,湖沼・湿地帯,地下水脈,平野・原野,土地・土壌,山野,森林・原生林・熱帯林,山岳,地下空間,地下資源・化石資源・鉱物資源,多種多様な微生物類と動植物群,南極圏・北極圏,成層圏に至る空中空間,オゾン層,宇宙空間などの,自然界が人間にもたらすさまざまな恵みを,異質的あるいは同質的にそして直接的あるいは間接的に,共同利用していることである。 異質的共同利用とは,例えば大気についてみれば,生命の維持のために酸素を吸引して二酸化炭素を排出したり,自動車の燃焼エネルギーとして酸素を吸収し二酸化炭素や窒素ガスなどを排出したり,工場の生産・操業のために酸素を吸収して二酸化炭素をふくめ種々のガスを排出したり,気流を利用して風力発電に利用するなどの多様な利用方法を,複数の人がしていることである。海洋についていえば,漁業,海運,二酸化炭素の吸収,海底資源の利用,軍事的