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54 高知論叢 第99号共同利用様式(単純非対等ケース) これまでは,単純対等なケースを前提にして共同利用様式について検討を続けてきた。しかし現実には,前述したように,共同利用関係は多様な様式で存在してい....

54 高知論叢 第99号共同利用様式(単純非対等ケース) これまでは,単純対等なケースを前提にして共同利用様式について検討を続けてきた。しかし現実には,前述したように,共同利用関係は多様な様式で存在しているのである。その一つとしてここで検討しておかなければならないのは,非対等の共同利用関係のケースである(図表5参照)。 これは,AとBの力関係に格差があり,一方が強者で他方が弱者である場合の共同利用関係のことである。図表ではAの側が優位にあるように設定したが,Aにとっては,利用対象物[U]は,自分の私的財に近い性格をもちつつもBにも利用を開放しているという関係にある。 例えば,自然界共同利用についていえば,大気の環流の上流と下流,河川の上流と下流,海流や潮のながれの上流と下流では,上流にいる者が優位の立場にたちそれらの自然資源を自分の好きなように使うことができる。あるいは重要情報について多くの情報や情報源をもっている側の者が優位にたち,相手側に対して情報操作などのことを容易に行うことができる。さらに単位や貨幣についての制定権限や発行権限をもっている側の者が,その権限を自分に有利に使うかもしれない。また相手方に不利になるような投出と投入行為を命じる権図表5 共同利用様式(単純非対等ケース)注)[U]a・p は利用者Aの私的財に近い性格をもつとともに,   利用者Aと利用者Bの公共財になる。[U]a は利用者Aの私的財である。[U]b は利用者Bの私的財である。   はAの私的領域とBの私的領域の遮断装置である。出所)筆者作成利用対象物利用対象物利 用 者利 用 者[U]a A B [U]b投出投出投出投出投入投入投入投入利用対象物[U]a・p