099号

099号 page 59/122

電子ブックを開く

このページは 099号 の電子ブックに掲載されている59ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
公共性研究の方法と公共性三元論(上) 57 租税や年金などを徴収することによる公的医療,公的保険,公的年金制度などの,社会保障制度も整備されるようになる。 Cがその専門能力を生かして,AとBの投出と投入....

公共性研究の方法と公共性三元論(上) 57 租税や年金などを徴収することによる公的医療,公的保険,公的年金制度などの,社会保障制度も整備されるようになる。 Cがその専門能力を生かして,AとBの投出と投入をうまく結合させ,よりすくない投出でより多くの投入成果につながるようにできればいいが,問題は,その専門性が特権化と密室性・複雑性を生みだし,投出と投入がどのように結びつけられたのかが,外部からはみえなく,わからなくなることである。そうなるとそれらがCによって私物化されたり,浪費されていたり,不正や腐敗を生み出していたりすることが多くなり,第1章でもふれた公共性疎外が強まる。しかも強制的権力をもっているので,[U]p を特定階層や特定階級,特定政党が独占するようになったり,軍事独裁政権などが掌握することなどになれば,ますます公共性疎外は強まり,公共性三元論評価からみてもっとも劣悪な共同利益水準,共同制御水準になってしまうのである。 公共財としての持続的利益を高めるためには,共同利用関係者すべてが相互作用と相互依存の関係にあることを容易に認識できることによって,それぞれが社会的責任を果たすことの自覚と共感を高めることが必要であった。市民・納税者が受け身的立場に留まるのではなく,より積極的に社会的責任を果たすために,政府や行政,政治家の社会的責任の実施状況についての重要情報の開示を求め,政府・行政・政治家もそれを誰もが簡単・明瞭に理解できるように開示し,それに基づき社会的責任評価が実施され,それが投票行動や政治家の評価と選択に反映できることが必要である。さらに行政や政治への直接参与も不可欠である。このことによって公務としての職業倫理と規律が高まるのである。またそのような社会的責任教育が職務現場と教育現場に導入される必要がある。 水平的社会分業とは,AとBがもっていた専門性をCが吸い上げ,専門的な事業を行う経営組織(企業や金融機関)を立ち上げることである。Cはその専門能力を生かして,AとBの投出と投入を結合させる共同利用関係を担う。AとBによる共同利用関係は,経営や金融の専門能力をもったCが調整,仲介,管理,供給を担う共同利用関係に編成替えされることになる。 AとBは対価や料金,手数料などをCに支払い(投出),その見返りにさまざ