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58 高知論叢 第99号まな有用物や有用サービスをCから購入するだけの消費者になる(投入)。金融の場合には,Cに資金決済の仲介をゆだねて手数料を支払う金融消費者になったり,Cに資金をあずける預金者や運用を....

58 高知論叢 第99号まな有用物や有用サービスをCから購入するだけの消費者になる(投入)。金融の場合には,Cに資金決済の仲介をゆだねて手数料を支払う金融消費者になったり,Cに資金をあずける預金者や運用をまかせる投資家などの金融消費者になったり(投出),資金を借り入れる金融消費者になったりする(投入)。Cという会社の株式を購入して経営参加もできる株主になることもある。 現代では,伝達的共同利用を担うのは民間の通信会社であるし,生産や生活に必要な有用物や有用サービスの多くは,交換的共同利用を担う民間企業によって提供されている。自然界共同利用の多くの部分は企業が中心になって最終消費者までの間を仲介している。企業規模が大きくなればなるほど,それはより多くの共同利用関係を担うことになり,その社会的役割は大きくなる。 企業や金融機関がその専門能力を生かして,AとBの投出と投入をうまく結合させ,よりすくない投出で多様な人々のニーズに対応できる投入成果を生み出せるようにできればいいが,前述したのと同様に,問題はそれらの専門性が優越的権力と密室性・複雑性を生みだし,投出と投入の結びつきが外部からはみえなく,わからなくなり,その結果,偽装や談合,脱税,優越的地位の濫用,不正や腐敗などを生み出す温床になることである。 前述したように,公共財としての持続的利益を高めるためには,共同利用関係者すべてが相互作用と相互依存の関係にあることを認識でき,それぞれが社会的責任を果たすことの自覚と共感を高めることが必要であった。消費者や金融消費者が受け身的立場に留まるのではなく,より積極的に社会的責任を果たすために,企業や金融機関の社会的責任の実施状況についての重要情報の開示を求め,企業や金融機関の誰もがそれを簡単・明瞭に理解できるように開示し,これに基づき社会的責任評価が実施され,それが株価や信用評価に反映できることが必要である。このような社会的責任評価によって,企業人のモラルや職業規律が高められるのである。この場合にも,職務現場と教育現場に社会的責任教育や社会的責任金融教育の導入は必要である。 マルクス氏は,銀行制度と信用の役割について次のように述べる。「銀行制度は,形態的な組織や集中という点から見れば,…(中略:紀国)…およそ資本主義的生産様式がつくりだす最も人工的な最も完成した産物である。それだか