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国際会計基準審議会における収益認識プロジェクトの展開71益認識プロジェクトを展開してきたが,公正価値測定が問題となったことが伺える。公正価値測定を支えた考え方は,「市場で成立している資産・負債の公正価値....

国際会計基準審議会における収益認識プロジェクトの展開71益認識プロジェクトを展開してきたが,公正価値測定が問題となったことが伺える。公正価値測定を支えた考え方は,「市場で成立している資産・負債の公正価値をベンチマークとすることにより,これと比較して企業が効率よく義務を履行したかどうか(公正価値に対してオーバーパフォームしたか,アンダーパフォームしたか)を把握することが可能になると考えたのである10」ということにあった。また, 開発中の保険契約や負債の測定, リースといった関連する他の基準が公正価値を用いているため, 他の基準との整合性を重視するIASB の会計基準設計からも公正価値測定が必要とされていたと考えられる。 2007年10月のIASB 会議において,資産負債アプローチにより開発された測定モデル(Measurement Model)と配分モデル(Allocation Model)が提案された。この2 つの測定モデルは,後述するディスカッション・ペーパーに引き継がれることとなり,ディスカッション・ペーパーでは両モデルが示され,予備的見解として配分モデルを選択している。(1)測定モデル 測定モデルは,法的解放金額と呼ばれていたものである。「このモデルでは,収益は, ある期間においてどのくらい業績(performance)が生じたかという別々の評価(separate evaluation)ではなく, 特定の資産の増加及び特定の負債の減少を認識し,明示的に測定することから生じる11」というように,期中の資産と負債の変動を測定して収益を認識することから測定モデルといわれる。 このモデルでは,特定の資産と負債は顧客との強制力のある契約から直接的に生じ,ある契約が実体にとって資産であるか負債であるかは,その契約において残存している未履行の権利と義務による12。また,契約の測定は,現在出口価格(current exit price)によって行われる13。このため,収益は,契約開始時に特定の資産が特定の負債を上回る場合(反対の場合は損失を認識する)14,契約開始後履行義務が充足されるにつれて契約資産の増加または契約負債の減少により認識される15こととなる。