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72 高知論叢 第99号(2)配分モデル 配分モデルは,顧客対価額モデルと呼ばれていたものである。「このモデルでは,収益は,ある期間においてどのくらい業績が生じたかという別々の評価ではなく,特定の資産の増加....

72 高知論叢 第99号(2)配分モデル 配分モデルは,顧客対価額モデルと呼ばれていたものである。「このモデルでは,収益は,ある期間においてどのくらい業績が生じたかという別々の評価ではなく,特定の資産の増加及び特定の負債の減少を認識することから生じる16」。測定モデルとの違いは,契約の権利を契約で述べられている契約対価の金額で測定し,契約の義務は直接的に測定するのではなく,顧客対価を個別の履行義務に配分することで決定されることにある。 この結果,契約開始時において履行義務の総残高は顧客対価と等しい金額として測定される17ため,契約時に収益は認識されない。契約開始後,契約負債の減少または契約資産の増加した時に収益が認識される18こととなる。2. ディスカッション・ペーパー「顧客との契約における収益認識についての予備的見解」 2008年12月,IASB はディスカッション・ペーパー「顧客との契約における収益認識についての予備的見解(Discussion Paper Preliminary Views onRevenue Recognition in Contracts with Customers)」(以下,ディスカッション・ペーパー)を,FASBも同タイトルのディスカッション・ペーパーを公表した。(1)収益認識基準の改訂の必要性 ディスカッション・ペーパーでは,これまで発生主義,実現主義といった概念によって収益認識を行ってきたアプローチ(収益費用アプローチ)を,稼得過程アプローチ(earnings process approach)と呼んでいる。ディスカッション・ペーパーでは,稼得過程アプローチではなく,資産負債アプローチという新たなアプローチにより収益認識を行うことを提案している。このアプローチ転換について,アメリカ会計基準における問題と国際会計基準における問題にわけて理由をあげている19。