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74 高知論叢 第99号(3)収益認識原則 ディスカッション・ペーパーでは,顧客との契約における実体の正味ポジションの増加を基礎として収益を認識することを提案している29。 この提案では,顧客との契約により実....

74 高知論叢 第99号(3)収益認識原則 ディスカッション・ペーパーでは,顧客との契約における実体の正味ポジションの増加を基礎として収益を認識することを提案している29。 この提案では,顧客との契約により実体は,顧客から対価を受け取る権利と顧客へ財またはサービスのような資産を移転する義務が生じる。この権利と義務の正味ポジションを契約資産(権利が義務を上回る場合),契約負債(義務が権利を上回る場合)という30。図表1 契約における実体の正味ポジション権利(対価を受け取る権利)契約資産義務(財やサービスのような資産を移転する義務)(出所:企業会計基準委員会「収益認識に関する論点整理」2009年9 月,12頁。) 正味ポジションは,実体の履行や顧客の履行または経済状況の変動などにより変化するが,IASB,FASB の収益の既存の定義31により, 顧客の履行による契約資産の減少または契約負債の増加は収益認識とならず,実体の履行による契約資産の増加または契約負債の減少のみが収益認識とすることができると考えられている32。また, 契約開始時33における契約資産及び収益の認識を除外し34,実体が義務を充足(satisfies)した場合のみ収益認識を認めている35。図表2 正味ポジションの変動による収益認識状況正味契約ポジション契約資産契約負債顧客の支払い(残存する権利の減少) 減少減少増加実体の財やサービスの提供(残存する義務の減少)増加増加(実体は収益を認識)減少(実体は収益を認識)(出所:IASB, Discussion Paper, Preliminary Views on Revenue Recognition in Contractswith Customers, December 2008, par. 2. 32.)