099号

099号 page 78/122

電子ブックを開く

このページは 099号 の電子ブックに掲載されている78ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
76 高知論叢 第99号? 実体の契約の業績の描写 実体の履行義務の測定する他の目的は,包括利益計算書において契約における実体の業績を描写することにあるとされている45。つまり,資産負債アプローチによる収益認....

76 高知論叢 第99号? 実体の契約の業績の描写 実体の履行義務の測定する他の目的は,包括利益計算書において契約における実体の業績を描写することにあるとされている45。つまり,資産負債アプローチによる収益認識モデルとなっても,包括利益計算書は財政状態計算書と等しく重要であることを明示している。(6)履行義務の当初測定(2つのアプローチ) 履行義務の当初測定方法として, ?現在出口価格アプローチ(current exitprice approach)46と?当初取引価格アプローチ(original transaction priceapproach)47という異なる方法があげられている。 現在出口価格アプローチは,測定モデルと呼ばれたものであり,公正価値による測定を意味し,履行義務を市場で観察可能な金額で測定することを意図したものである。他方,当初取引価格アプローチは,配分モデルと呼ばれていたものである。 両審議会は,2 つのアプローチを示したが,現在出口価格アプローチは契約開始時において契約資産又は契約負債を認識するため義務が履行されていない状態で収益が認識される場合があること,市場で観察可能な金額というものの実際には観察可能であることは少なく見積りを用いる必要があること,契約開始時において履行義務を誤って過小評価又は過大評価した場合の利益に与える影響といったことから,?現在出口価格アプローチではなく?当初取引価格アプローチを採用することを提案している48。(7)履行義務の事後測定 実体の履行義務は,実体が顧客に財またはサービスを移転することなどにより変動する。この変動をすべて把握することは複雑であるため両審議会は,少なくとも実体が顧客に財やサービスを移転することによって履行義務を充足する時に生じる変動を把握すべきであるとしている49。 実体が約束した財やサービスのすべてを一度に顧客に移転する場合は, 履行義務の当初測定(取引価格)と等しい収益が認識される50 が,複数の財または