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国際会計基準審議会における収益認識プロジェクトの展開81③ 取引価格を決定する 公開草案では,「取引価格は,実体が移転する財またはサービスと引き換えに顧客から受け取ることが期待される確率で加重平均した対....

国際会計基準審議会における収益認識プロジェクトの展開81③ 取引価格を決定する 公開草案では,「取引価格は,実体が移転する財またはサービスと引き換えに顧客から受け取ることが期待される確率で加重平均した対価の金額(probability-weighted amount of consideration)を反映したものである69」とされている。ディスカッション・ペーパーでは,顧客の固定額の現金対価の支払いという前提であったが,公開草案では,対価の金額の変動70,回収の不確実性について検討された結果,対価を発生確率で加重平均した見積りが契約の履行義務の最も有用な測定値になると考えられている71。ここでの提案は,取引価格に見積りによる数値を用いるということであるが,変動要因や信用リスクを考慮することとなるため導き出される数値は,顧客と契約した金額を上限に下方への幅を持った数値となると考えられる。 また,収益認識を行うにあたり取引価格が合理的に見積もることができない場合は,収益を認識してはならないとしている72。合理的な見積りであるかどうかは,次の2 要件の両方を満たすことが必要とされている73。? 実体が類似する契約タイプに経験(experience)をもっている(または,実体に経験がない場合,他の実体の経験にアクセスできる)。? 実体が状況の重大な変化を予想していないために,実体の経験が契約に関連性がある(relevant)。 取引価格の算定は,?回収可能性(collectability)74,?貨幣の時間価値75,?現金以外の対価(non-cash consideration), ?顧客に支払われる対価76を考慮しなければならないとしている77。 財またはサービスを提供する時点と異なる時点で支払われる場合については,多くの契約にとって重要とはならないとしつつも,支払期限が顧客への財またはサービスの移転後著しく後になる場合は,取引価格に貨幣の時間価値を考慮し,貨幣の時間価値と信用リスクの両方を反映した利子率によって割引くことを求めている78。また対価が現金以外の形態である場合は,公正価値で測定することとしている79。