099号

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82 高知論叢 第99号④ 取引価格を別々の履行義務に配分する 「実体は,契約開始時に各履行義務の基礎となる財またはサービスの独立販売価格の比率で(すなわち独立販売価格を基礎に比例して), すべての別々の履....

82 高知論叢 第99号④ 取引価格を別々の履行義務に配分する 「実体は,契約開始時に各履行義務の基礎となる財またはサービスの独立販売価格の比率で(すなわち独立販売価格を基礎に比例して), すべての別々の履行義務に取引価格を配分しなければならない80」としている。ディスカッション・ペーパーでは,取引価格は様々な基礎を用いて配分することができることをあげていたが,公開草案ではディスカッション・ペーパーで示された予備的見解と同じく独立販売価格に基づくこととされている81。 独立販売価格が直接的に観察可能でない場合(財またはサービスを別々に販売する場合で販売価格がない場合),観察可能なインプットを最大限に用いることと,見積り方法を継続的に適用することをあげ,?予想コストにマージンを加算するアプローチ,?修正市場評価アプローチが適切な見積もり方法として示されている82。 契約開始後に取引価格に変動があった場合は,契約開始時と同じ基礎により,すべての履行義務に配分しなければならないとされている。このことは,変動額全体を変動が生じた期間にすべて損益として認識するのではなく,履行済みの部分のみを期間の収益または収益の減額として認識するということである。また,対価が変動する場合の収益認識を制限することはせず,「実体は,契約開始後の独立販売価格の変動を反映させるために取引価格を再配分してはならない83」というように取引価格を制限している。⑤ 実体が各履行義務を充足した時点で収益を認識する 公開草案ではディスカッション・ペーパーと同じく,実体は顧客に約束した財またはサービスの移転によって識別した履行義務を充足したものについて収益を認識しなければならないとしている。財またはサービスの移転は, 顧客がその財またはサービスの支配を獲得した時点84というように収益認識時点は,財またはサービスの支配が顧客に移転した時点となる。 ここでいう支配とは,「財またはサービスの使用を指図し(direct), 便益を受け取る実体の能力85」というように,当該資産の使用を決定することができること,財またはサービスから便益を受け取ることができるという能力を有し