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94 高知論叢 第99号三つの産業(自動車,自転車,デジタルスチルカメラ)で行われている外部組織の活用例を紹介する。結論を先取りすると,各企業が有する生産,販売,開発の諸機能間(生産力と販売力,販売力と開....

94 高知論叢 第99号三つの産業(自動車,自転車,デジタルスチルカメラ)で行われている外部組織の活用例を紹介する。結論を先取りすると,各企業が有する生産,販売,開発の諸機能間(生産力と販売力,販売力と開発力,開発力と生産力)には能力ギャップが必ず存在し,不足能力や過剰能力として顕在化する。そのとき,企業は外部組織を活用することによって相対的に不足する能力を補ったり,逆に,相対的に過剰な能力を外部組織に提供したりすることで,相対的に短期間で4 4 4 4 4 4 4 4 能力ギャップを解消することができる。つまり,外部組織を活用したり,外部組織として活用されたりする要因は,諸機能間の能力ギャップの解消にあるというのがわれわれの現段階での結論である1。本稿の構成は以下の通りである。Ⅱにおいて,生産における外部組織の活用はどのように分類されているのか,さらに外部組織を活用する側,活用される側がどのような意図をもっているのか,こうした問いに先行研究ではどのように答えているのかをみていく。Ⅲでは,われわれが主張する生産・開発・販売の諸機能間におけるギャップによって,どのような外部組織活用の形態がありうるのか,そしてその論理は何なのかについて概観する。さらにⅣにおいて,自動車,自転車,デジタルスチルカメラにおける外部組織活用の実態を確認する。最後に,各事例から明らかになった活用の実態を類型化し,産業ごとの外部組織活用形態の異同を確認するとともに,完成品生産における外部組織の活用に関する基本的な論理を試論的に提示する。Ⅱ 先行研究レビュー1 外部組織活用形態の類型本報告で取り上げるのは,主に委託生産及び,OEM(original equipmentmanufacturing= 相手先ブランドによる製品供給),ODM(original designmanufacturing= 自社設計・開発による相手先ブランドでの製品供給)である。1 後述するように,諸機能間の能力ギャップを看過するという選択肢もある。